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2012 年度 実施状況報告書

細胞表面の糖タンパク質を標的とした口腔癌治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24792228
研究種目

若手研究(B)

研究機関愛媛大学

研究代表者

石川 詔子  愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90444760)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード口腔癌 / ジストログリカン / 糖タンパク質
研究概要

糖タンパク質であるジストログリカン (DG) の口腔癌における発現パターンを明らかにした。最初に口腔扁平上皮癌組織と前癌病変である白板症組織を用いて、免疫組織学染色により DG の発現と局在を確認した。α-DG の一次抗体はラミニン結合型糖鎖を認識するII6C4 を用いた。白板症組織ではラミニン結合型 α-DG 、β-DG ともに基底膜上の細胞で細胞膜上に発現していたのに対し、口腔癌組織では腫瘍細胞の細胞質内でびまん性に広がった局在を示した。また粘膜下層へ浸潤している腫瘍細胞では、ラミニン結合型 α-DG の発現が低下していた。次に正常歯肉と口腔扁平上皮癌組織における DAG1 mRNA、DG タンパク質の発現を解析した。DAG1 mRNA はすべての正常組織、口腔癌組織で発現していた。タンパク質発現においては、β-DG は全ての正常歯肉と口腔癌組織で同程度の発現を認めたが、ラミニン結合型 α-DG は口腔癌組織で有意に低下していた。これらの結果から、口腔癌組織においては乳癌等での報告と同様に、 DAG1 mRNAは正常に発現しているものの、タンパク質へと翻訳される過程で α-DG の糖修飾に異常が生じている可能性が示唆された。培養細胞株では、DAG1 mRNA は口腔扁平上皮癌培養細胞株である HSC3、HSC4、SAS、唾液腺癌培養細胞株である ACC2、ACCM の全てにおいて発現が認められた。タンパク質発現では、全ての細胞株においてβ-DG タンパク質は発現していたが、ラミニン結合型 α-DG タンパク質は低下もしくは欠失していた。これらの結果より、口腔癌においてはラミニン結合型 α-DG の発現が有意に低下していることが明らかになり、糖修飾の異常が癌細胞の浸潤に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

口腔癌組織と培養細胞を用いてジストログリカン発現のスクリーニングを行い、mRNA、タンパク質の両者に対する解析を安定して行うことができるようになった。また、その発現パターンに一定の見解を得ることができた。

今後の研究の推進方策

ジストログリカンの糖鎖修飾に影響する糖転移酵素について解析を加える。異常を示す糖転移酵素を復元することができれば、癌化の抑制に貢献し、新しい癌治療の開発につながるのではないかと考える。また、糖鎖構造を比較プロファイルできるシステムであるレクチンマイクロアレイの使用も検討したい。

次年度の研究費の使用計画

タンパク質、mRNA 解析のための試薬購入
レクチンマイクロアレイによる解析

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Epulis-like gingival angiosarcoma of the mandible: a case report.2012

    • 著者名/発表者名
      Sumida T, Murase R, Fujita Y, Ishikawa A, Hamakawa H.
    • 雑誌名

      Int J Clin Exp Pathol.

      巻: 5(8) ページ: 830-833

    • 査読あり
  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌における dystroglycan の発現解析

    • 著者名/発表者名
      八塚恵輔、石川詔子、中城公一、浜川裕之
    • 学会等名
      第71回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      札幌市

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公開日: 2014-07-24  

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