研究課題/領域番号 |
24792236
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 慎一 長崎大学, 大学病院, 講師 (50380853)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 転移 / 浸潤 / 細胞周期 |
研究概要 |
F-boxタンパク質, Skp2(S-phase kinase-associated protein 2)は、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27のユビキチン化と分解に関与し、 Skp2の過剰発現はp27の分解と腫瘍形成を促進すると報告がなされており、 咽頭癌ではリンパ節転移に関与するとの報告がなされている。口腔扁平上皮癌におけるSkp2の発現と臨床病理学的因子および浸潤能との関連を検討し、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。Skp2を認識する抗Skp2抗体を用いて、免疫組織化学的染色(ENVISION法)を行い、 臨床病理学的因子(性別、年齢、T分類、N分類、組織学的分化度および浸潤型)との関連性について検討した。口腔癌由来癌細胞株HSC3について、 RNAiによりSkp2の発現の抑制を行い、細胞生物学的特性として、遊走能をWound healing assayで、また、浸潤能をMatrigel invasion assayで評価した。さらにシグナル伝達の下流因子である Sp1、 matrix metalloproteinase -2 (MMP-2)、 MMP-9の各分子の発現との関連を検討した。Skp2の過剰発現と臨床病理学的因子との関連について、T分類、 N分類、および浸潤型との間に有意な相関がみられた。また、予後因子となりうる可能性が示唆された。Spk2の発現をsiRNAによる抑制したところ遊走能、浸潤能の有意な低下が認められた。また、Spk2のシグナル伝達の下流にある転写因子Sp1の発現の低下、これに加えてMMP-2、MMP-9の発現の低下がみられた。 以上よりSkp2 は転写因子であるSp1を介してMMP-2、MMP-9の発現を制御し、口腔扁平上皮癌細胞における転移・浸潤に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回、F-boxタンパク質, Skp2(S-phase kinase-associated protein 2)について、口腔癌での浸潤・転移に関わる機能について解析を行った。HIF1-αの発現について、ARNTの発現を口腔扁平上皮癌で検討をする必要があり、その確認後、ARNTをoverexpressionした場合の確認方法として蛍光免疫染色する必要があり、この条件設定を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
条件設定を行った上で、当初の計画に沿った実験を遂行していく。免疫染色、RT-PCRを行い、当初の計画通り、ベーシックなタンパク、mRNAレベルでの発現レベルを検討し臨床病理学的因子との相関を検討する。その後、各分子の発現抑制を行い、細胞生物学的特性への影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通りに速やかに研究を遂行し、計画通りに研究費を使用していく。特段に研究計画に変更はなく、申請書通りの研究費で研究を遂行していくことが可能と考えている。
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