研究課題
Skp2の口腔扁平上皮癌における浸潤・転移能に関する影響を引き続き検討を行った。これまでにSkp2の発現は口腔扁平上皮癌においては臨床病理学的因子では組織型、T分類、N分類、浸潤様式と有意に関連があることを示し、また、Skp2過剰発現症例では有意に予後が不良であることを示してきた。加えてSkp2の発現を舌癌由来細胞株であるHSC3を用いてsiRNAにて抑制し細胞生物学的特性を検討したところ、浸潤能、遊走能の有意な低下が認められた。また、局所浸潤に関してMMP-2、MMP-9の発現が抑制されていることが確認され、同様にゼラチンザイモグラフィーにても抑制が確認された。これらは転写因子であるSp1を介して調節されている可能性が示唆された。今後はヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるvorinostatを用いて口腔癌治療への応用への可能性を検討する予定である。FOXC2についても検討を行っており、FOXC2の発現は舌癌では臨床病理学的因子としてT分類、N分類、浸潤様式と有意に相関があり、多変量解析ではT分類と相関がみられた。また、過剰発現例では有意に予後不良であった。また、舌癌由来細胞株を用いて細胞生物学的特徴を解析したところ、FOXC2の発現は増殖能と有意に相関がみられ、浸潤能とは相関する傾向が認められた。現在、VEGFとの関連を検討を行っている。また、siRNAによる発現抑制下での細胞生物学的特徴の変化を検討する予定である。
3: やや遅れている
これまで継続しているSkp2、FOXC2の研究を遂行していることもあり、やや遅れている。今後、早急にARNTについて免疫染色を行い、臨床病理学的因子との相関を検討し、舌癌細胞株での細胞生物学的特性を検討する予定である。
これまで口腔扁平上皮癌における転移、浸潤に関する分子に注目してそれぞれの発現と臨床病理学的因子との相関、予後因子になりうるか、加えて細胞生物学的特徴について検討を行ったてきた。今後、これらの結果、実験手技を用いて鋭意、本研究を遂行していく予定である。
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 26 ページ: 14-21