研究課題
上皮間葉移行を誘導する因子の一つとされているFOXC2の舌扁平上皮癌での発現意義について検討を継続した。これまでにFOXC2の発現はstage分類、浸潤様式、T分類、N分類、VEGF-A、VEGF-Cとの発現との関連が認められた。また、FOXC2過剰発現例での疾患特異的生存率の有意な低下、単変量解析、多変量解析の結果、独立した予後因子なる可能性が示唆された。FOXC2はFOXC2-VEGFシグナリングを介して舌扁平上皮癌細胞の増殖、浸潤に関与している可能性が明らかとなった。また、頭頸部癌において分子標的治療薬が認可され、著明な治療効果の報告がある反面、重篤なインフュージョンリアクション、薬剤性間質性肺炎の発症などの有害事象の報告もあり、治療効果を予測する因子の探索は重要である。セツキシマブ療法を施行した切除不能再発。進行口腔癌症例においてp16、EGFRvⅢの発現とセツキシマブの治療効果を検討したところ、EGFRvⅢの発現は43.8%で, p16の発現は18.8%であった。それぞれの分子の発現と治療効果との関連ではEGFRvⅢの発現と治療効果との間にのみ有意な相関が認められ、疾患特異的生存率および無増殖生存率との間には相関がみられなかったが、EGFRvⅢの発現はセツキシマブ療法の治療効果の予測因子となり得る可能性が示唆された。セツキシマブに加えて新たな分子標的治療薬の創薬の可能性を探るためにナトリウム利尿ペプチド受容体A(NPRA)の舌扁平上皮癌での発現の意義についても検討を開始し、舌扁平上皮癌症例での免疫組織化学染色を行った。現在、発現の解析、病理組織学的因子、生存率、VEGFとの発現の関連について検討を行っているところである。
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Pathology and Oncology Research
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頭頸部癌
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
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