研究概要 |
近年、歯根膜組織を採取、培養し得られた歯根膜細胞(以下PDL)を用いた歯周組織再生療法の報告を散見する。一方で、羊膜はこれまでに抗炎症作用・感染制御作用を有することが分かっており、様々な細胞の培養基質として用いられてきた。 そこで私たちは移植可能な羊膜上培養PDLシートの開発を念頭に、羊膜を基質としたPDLの培養を行い、同培養シートについて検討を行った。具体的には口腔内環境を想定し、歯周病原菌の一種であるP.g.菌の内毒素、Lipopolysaccharide(以下LPS)によってPDLへ炎症を惹起した環境下で羊膜の抗炎症作用を調べることを目的として本研究を行ってきた。 平成24年度は主に羊膜上でのPDL培養技術の確立、ならびにLPSによる炎症反応惹起の至適条件を探索、決定を行ってきた。 平成25年度は前年度に得た歯根膜シートの培養技術ならびに炎症反応惹起の条件を元に、羊膜上培養したPDLのmessage RNAの抽出、そのサンプルをrealtime PCRにより各炎症性サイトカイン(IL-6, IL-1beta, TNF-alpha)の発現の評価を試みた。しかし刺激時間や刺激濃度を変えた各条件においてもサンプルの炎症性サイトカインの発現に明らかな傾向を見出すことができず、マイクロアレイ解析にて遺伝子群の発現動態を網羅的に解析し、そこからターゲットとなる遺伝子を決定する方針へ切り換えた。マイクロアレイ解析の結果については現在データ解析を行っている状況である。
|