研究課題/領域番号 |
24792245
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
柳生 貴裕 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00555550)
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キーワード | 乳歯由来間葉系幹細胞 / 培養骨 |
研究概要 |
ヒト乳歯由来間葉系幹細胞(乳歯MSC)を培養し、移植実験を行った。 前年度に、乳歯MSCを骨芽細胞に分化誘導させるために添加する3種類の薬剤(デキサメタゾン、β三リン酸、アスコルビン酸)の最適な濃度を決定したため、それらをもとに、培養骨作製の検討を進めた。 さらに、ヌードラットを使用したin vivo実験を行った。ヌードラットの下顎骨”先天性骨癒合不全”部におよび背部皮下に移植を行い、8週間後に標本を摘出した。標本の評価としてマイクロCTによるX線学的評価と、組織学的評価を行った。 マイクロCT像では、骨欠損部に石灰化物様の組織が少量みられたが、組織標本像では骨様組織は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養骨の作製過程の検討において、乳歯MSCを骨芽細胞に分化誘導する際に、豊富な骨基質の分泌がみられた。それらの骨基質は培養細胞の足場となるため、培養細胞はシート状として採取することができた。すなわち、このシート状の採取物を使用すれば、人工骨(足場)を使用しなくても培養細胞の移植は可能と考えた。免疫不全動物であるヌードラットへの移植実験であるため、異物である人工骨を使用しないことは利点である。 そこで、ヒト細胞ではなく小動物実験に戻ることとした。Fischer344ラットの骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)から同様の移植物を作製して移植実験を行い、人工骨なしでも骨形成は可能であることを確認した。その上でヌードラットへの移植を行った。 一度、小動物の細胞を用いた実験に立ち戻ったため、ヌードラットへの移植とその評価は未だ一例のみしか行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
乳歯MSCを使用した移植実験において、ヌードラット下顎骨”先天性骨癒合不全”部には骨形成が見られなかった。原因の一つとして、使用した細胞が3継代目の細胞であったことが挙げられる。今後、継代の少ない細胞を使用して実験を行う。また、本来予定していた、人工骨を使用した培養骨移植も改めて行うこととする。 骨形成が見られた際には、その方法に準じて複数の検体で実験を行う。移植後1、2、6、12、18か月目に標本を摘出して骨形成(有効性)の評価を行い、また、癌化や拒絶反応が引き起こされないこと(安全性)を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本実験は、細胞の培養と移植を合わせると、1クール行うのに合計12週間必要である。実験の日程的なズレにより、必要な検査・評価をまだ行えておらず、差引額(35,509円)が生じた。 予定通り実験を進め、上記金額は標本評価の試験ために使用する。
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