研究課題/領域番号 |
24792245
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
柳生 貴裕 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00555550)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳歯由来間葉系幹細胞 / 培養骨 / 細胞シート |
研究実績の概要 |
前年度は、ヒト乳歯由来間葉系幹細胞(乳歯MSC)を骨芽細胞へ分化させ、シート状に採取しヌードラットの下顎骨”先天性骨欠損”部へ移植実験した。移植後8週目で標本を採取し、評価を行った。しかし、micro-CT像では欠損中央部に石灰化組織が微量に見られるものの、組織標本では骨組織は全く確認できなかった。その原因は、使用した細胞の骨化能の不足が第一に考えられるが、ヒト乳歯MSCによる骨形成速度が遅く緩慢である可能性も否定できない。そこで、本年度は、骨化能のよい細胞の選別と並行して、ラット骨髄由来間葉系幹細胞を使用し、移植における骨形成の動態の確認を行った。 移植後2週目では、左右の顎骨間(骨欠損部)に微小な石灰化物が散在性に認められた。それらの石灰化物は母床骨との連続性はみられなかった。移植後4週目で石灰化部位が拡大し、左右の顎骨を架橋させていた。8週目では、より強固な癒合となり、形成骨は周囲の母床骨の形態に調和していた。 前回実験により得られたmicro-CT像と、今回のラット細胞による実験の2週目のmicro-CT像は似た様相を示しているため、移植した乳歯MSCは骨形成速度が遅い可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当科(奈良県立医科大学口腔外科学講座)にはヒト乳歯歯髄細胞が数多く凍結保存しているが、その多くのサンプルは継代を経て増殖させた細胞である。継代数を経るほどに骨化能は低下すること、ヒト細胞は増殖能や骨化能に個体差が認められることより、実際に効果を期待できるサンプル数は限られている。そのため、ラット細胞による予備実験を行い、効果的な移植方法、評価項目を検討した。 現在、ヒト乳歯MSCによる実験に戻り、移植実験が進行中であるため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト乳歯MSCを使用した移植実験が進行中である。摘出後に骨形成が確認されれば、同一個体で同一継代数の細胞を使用して、複数のヌードラットへ移植し、骨形成の有効性を経時的に評価する。また、他の細胞でも同じ手順で実験を行い、ヒト乳歯MSCを使用した骨形成治療の標準化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、ヌードラットを使用したヒト乳歯MSC移植実験を中断し、ラット細胞による同系ラットへの移植実験による検討を多く行ったため、差引額(37,427円)が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通り研究を進め、ヌードラットへの移植実験と標本評価のために使用する。
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