研究課題
若手研究(B)
最近では侵害受容入力におけるエンドセリンの関連性は報告されているが、エンドセリンがどのように三叉神経節ニューロンを活性化させるかは不明である。本研究では、ラットの三叉神経節ニューロンにおいて、エンドセリン受容体であるETAやETB受容体の発現やエンドセリン誘導性の反応を調査した。二重免疫染色法では、ETAやETB受容体が三叉神経節ニューロンにおいて発現し、ETAやETB受容体の26%がそれぞれの受容体で発現していた。ホールセルパッチクランプ中においては、分離された約20%のニューロンにおいて、エンドセリン1がTRPV1であるカプサイシンへの反応を増幅した。その増幅はプロテインキナーゼC阻害薬のチェレリスリンやETAアンタゴニストのBQ-123によって抑制されたが、ETBアンタゴニストのBQ-788では抑制されなかった。カルシウムイメージングでは、エンドセリン1が分離細胞の20%以上で細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こした。重要なことはカプサイシン誘導性電流におけるエンドセリン1の効果とは違って、カルシウムイオンの反応はBQ-788において大幅に抑制されるが、BQ-123では抑制されなかった。これらの結果は、プロテインキナーゼ経由のETA介在性TRPV1の過剰活性化とETB介在性のカルシウムイオン流動が、三叉神経節の異なったサブセットによって起こっていることを示唆している。これらのエンドセリン誘導性の反応は、口腔顔面痛の発生に関与しているのかもしれない。三叉神経節ニューロンにおけるETB介在性の機能は、脊髄神経節には発現していないため、三叉神経システムにおける特殊機構である。
3: やや遅れている
口腔顔面領域の痛み入力に関与する三叉神経節におけるエンドセリンの効果が判明した。エンドセリンは侵害受容入力に関与しているため、このエンドセリンも中枢グリア細胞とともに抑制することが、癌性疼痛治療につながる可能性が出てきた。いわゆる、末梢性と中枢性の両方向から治療が可能となるわけである。
1.顔面癌モデルへのプロペントフィリン(PPF)投与による痛覚関連行動の変化ならびに三叉神経脊髄路核、三叉神経節における神経化学的変化。2.プロペントフィリン(PPF)有効濃度投与とNSAIDs、モルヒネ、プレガバリンとの併用による行動観察ならびに神経化学的観察
ラット120匹、培養液とその添加物質、免疫染色抗体、プロペントフィリン、モルヒネ、インドメタシン、プレガバリンなどの治療薬、その他関連薬品に使用予定。その他国内学会、論文投稿にも使用予定。なお、次年度の研究費には前年度の繰越金も合算する予定である。
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