研究課題/領域番号 |
24792252
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩崎 良太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30365390)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨代謝 / 細胞融合 |
研究概要 |
これまでに、OC-STAMP KOマウスでは破骨細胞の細胞融合が完全に欠失すること、そして多核化しないことによって骨吸収能が有意に低下することが明らかとなっている。またOC-STAMP KOマウスで発現遺伝子解析を行ったところ、破骨細胞分化マーカーや、細胞融合関連遺伝子の発現ではWT,KOマウスで有意な差を認めなかった。つまり、OC-STAMPは他の因子には影響せず、単独で細胞融合に必須の機能を有していることがわかった。そこで本研究課題では以下の事を解明したいと考えている。I:細胞融合を介した骨代謝制御 II:OC-STAMPを介した破骨細胞の細胞融合制御機構 III:細胞融合制御因子の解明 骨代謝制御に関しては、in vivoでの骨密度の測定、骨形態計測、骨吸収アッセイを行いOC-STAMPが骨代謝にどのように影響しているかを検討する。OC-STAMP KOマウスでは破骨細胞の細胞融合が欠失することから、破骨細胞面積が低下することが予想される。そこで破骨細胞面積と骨密度を測定することで破骨細胞の細胞融合における骨密度への影響を明らかにする。次にOC-STAMPを介した破骨細胞の細胞融合制御機構の解明に関してOC-STAMP KOマウスでは破骨細胞の融合が起こらないことから、マイクロアレイをもちいてOC-STAMP KOマウスと野生型マウスでの発現遺伝子を比較し、破骨細胞の融合に関連する分子を同定する。また、破骨細胞とマクロファージ巨細胞はともにOC-STAMPが必須である共通の融合機構を持つことから、破骨細胞とマクロファージ巨細胞に共通に発現する分子を単離し、前述の分子群と比較することにより、マクロファージ系細胞の融合に関連する分子を同定する
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、細胞融合を介した骨代謝制御に関して研究が進んでいる。 昨年度の結果により、骨代謝制御に関しては、in vivoでの骨密度の測定、骨形態計測、骨吸収アッセイを行いOC-STAMP 欠損マウスでは、破骨細胞による骨吸収が抑制されているが、骨芽細胞による骨形成は促進されており、その結果骨量は増加していた。それに対しOC-STAMP Tgマウスでは、破骨細胞による骨吸収の亢進、および骨芽細胞の活性と骨量の低下を示した。OC-STAMPは破骨細胞特異的に骨量を制御し、またOC-STAMPの機能を抑制する事で、破骨細胞による骨吸収抑制と骨芽細胞の活性上昇の両面から、骨量を増加させることが可能となる事が示唆されている。以上のことから、概ね順調に研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、OC-STAMPを介した破骨細胞の細胞融合制御機構の解明に関して、OC-STAMP欠損マウスでは破骨細胞の融合が起こらないことから、マイクロアレイをもちいてOC-STAMP欠損マウスと野生型マウス、OC-STAMP Tgマウス由来の破骨細胞の発現遺伝子を比較し、破骨細胞の融合に関連する分子を同定する。またサイトカインの濃度や培養期間、破骨細胞を骨芽細胞とのco-cultureといった培養条件を変えても融合はおこらないのかを解析することで、OC-STAMPが破骨細胞、異物巨細胞の融合に真に必須なものかどうかを解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
OC-STAMPノックアウトマウスに加えて、DC-STAMPノックアウトマウス、さらにはシグナル解析を行うためにM-CSFやIL-4のシグナルの上下流にあるSTAT1やSTAT6という分子に注目してそれらのノックアウトマウスを使用した解析を行うので、マウスの維持管理料として使用予定である。また、免疫染色やウェスタンブロット等といった実験手法を行う予定であるので、それらの生化学試験試薬などの購入費用として使用する。
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