研究課題/領域番号 |
24792253
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
吉澤 泰昌 昭和大学, 歯学部, 助教 (90433812)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 骨再生 / 脂肪幹細胞 / Scaffold |
研究概要 |
再生医療に使用される担体はコラーゲンが多用されており、そこにある種の成長因子を加えると言った手法が取られていたが、我々が考える担体は単なる一種類の成長因子の添加による骨形成を企図するのもではなく、生理的な、かつ包括的な成長因子を内包、そして放出を兼ね備えた自家担体を目指していた。このニーズに合致したものが、MEDKAN社FillerGeller LIPOMAX-SCシステムによる脂肪組織の濃縮加工産物の利用である。我々はヒトの脂肪組織を遠心し遊離脂肪を除去したFATGELの特性に顎口腔領域の骨欠損再生療法における新規足場材料としての可能性を見出し、このFATGELに物理的機械刺激を加えて分化誘導したASCsを加えて従来の骨再生法を凌駕する手法の確立を期待している。具体的手法に関しては、ヌードマウスの頭蓋冠に形成した骨欠損部にFATGEL+ASCsを充填、移植することによって当該部位に骨形成を誘導、従来の様々な知見を上回る骨再生が生じ得るかを検討した。当該年度においては、FATGELの新規担体としての評価をするために、マウス骨欠損部モデルに移植し、形成された組織に関してμCT画像および組織学的に解析して行く予定だったが、正確な解析はいまだ行われておらず、本年度に持ち越しとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度においては、FATGELの新規担体としての評価をするために、マウス骨欠損部モデルに移植し、形成された組織に関してμCT画像および組織学的に解析して行く予定だったが、組織切片の作製に時間を多く費やしてしまったことと、μCTの撮影が1サンプルあたり約45分かかってしまうということがあり、1つ1つの正確な解析はいまだ行われていない。
|
今後の研究の推進方策 |
物理的機械刺激の一つである低酸素暴露は細胞に血管新生因子、転移促進因子をはじめとして様々な遺伝子発現促進をもたらす。骨系細胞においても低酸素刺激は骨軟骨分化に重要な遺伝子発現増加が確認されている。 脂肪幹細胞の骨系細胞への分化誘導においてもこの低酸素刺激が有効に働く可能性がある。これはわれわれが既に確認しているshare stressによる分化誘導と同様、外部から何らかの因子を添加するよりも安全性に優れている手法である。このため 1. ASCs低酸素暴露による骨系細胞への分化誘導確認 物理的機械刺激の一つである低酸素暴露をASCsに加えてshare stress同様に分化誘導が起こるか検討する。低酸素状態はO2 5~15%の範囲で検討する。一定期間培養後形成されたペレットを取り出し, RT-PCR (II 型コラーゲンとアグリカンmRNA), サフラニンO 染色, グリコサミノグリカン(GAG)量およびDNA 量の測定を行う。 GAG 量の測定はジメチレンブルー法でおこない, DNA 量の測定にはHoechst 33258 dye法を用いた. GAG の産生量は細胞数の増加を考慮してGAG/DNA で示す予定である。2. 低酸素暴露ASCsによる骨欠損モデル動物での骨再生評価 前項で誘導のかかった低酸素条件で培養したASCs をFATGELもしくはアテロコラーゲンと共にヌードマウス骨欠損モデル応用、結果評価する。3. 低酸素暴露自家ASCsによる骨欠損モデル動物での骨再生評価 同一個体の脂肪組織から採取した自家ASCsを低酸素暴露を加えて分化誘導させ同じ脂肪組織から調整した自家FATGELとととに骨欠損モデルに応用、評価する。 これらは、前年度に持ち越しとなったデーター解析と共に行って行く予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
設備備品 今回の実験に要する設備備品はほとんどが整備されている。各専用機器に対する専用消耗品が必要となるのみである。ただし、結果解析のためのパーソナルコンピュータは必須となる。 消耗品 脂肪濃縮液を作成する際の専用デイスポーザブル容器、シリンジ、細胞培養のための培養液、シャーレ、ピペットが全年に渡って必要不可欠である。また成長因子、アテロコラーゲン、プライマーなどの試薬、薬品、実験動物および機材が必要である。 旅費 本研究では、学外の共同研究者が存在するため、メール等のインターネットを使用した情報交換のみならず、直接立ち会いのもとの情報交換が研究遂行に必要不可欠である。また再生工学の専門知識、特に脂肪幹細胞に関する情報と専門技術が必要となる場合も想定され、他施設・他分野専門機関との協力、学会参加による資料・情報採取が重要となる。そのための旅費について必要額を計上した。
|