口腔外科領域においては歯周病による歯槽骨欠損から、腫瘍切除に伴う顎骨の再建まで、骨再生は非常に重要な課題である。骨再生には、細胞、成長因子、スキャホールドの3つの要因が必要とされている。本研究では、ヒト脂肪組織から、細胞としての脂肪幹細胞と脂肪組織から調整される結合組織由来スキャホールドと細胞増殖因子の役割を兼ね備えた新規自己担体を用いることで骨再生ならびに骨分化誘導の検討を目的と資本研究を行った。 すなわち、本研究計画では、美容外科領域で低侵襲で採取されたヒト体脂肪組織から、ASCsを分離するとともに、同じく脂肪組織から調整された新規自己担体を利用し、骨組織の再生を検討した。具体的には、以下の研究を行った。 ①ヒトの体脂肪組織から、ASCsを抽出・培養した後の組織からスキャホ-ルドを作成し、含有される各種成長因子を網羅的に検討した。②骨への分化誘導した脂肪幹細胞と脂肪組織より分離精製するスキャホ-ルドの共培養。③骨分化誘導した脂肪幹細胞と脂肪組織より分離精製するスキャホ-ルドの複合体のin vivoにおける骨組織再生の検討。
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