研究課題/領域番号 |
24792255
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
葭葉 清香 昭和大学, 歯学部, 助教 (60555358)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 上皮間葉移行 / エピジェネティクス |
研究概要 |
悪性腫瘍の治療成績は、医療技術の発展、癌に対する臨床的・基礎的研究の進歩により飛躍的に進歩し、早期発見・早期治療がなされればその予後は良好なものとなる。そこで、今回我々は癌の背景粘膜の段階から蓄積される口腔癌のエピジェネティックな異常に着目し、分子レベルでの口腔癌の超早期診断マーカーを確立する事を目的とする。つまり、①種々の外部環境刺激に誘発される異常メチル化遺伝子の比較、②担癌患者と非担癌患者の口腔粘膜におけるメチル化の比較、③候補遺伝子の機能解析、④候補遺伝子の超早期診断マーカーとしての有用性の検討を行う。これらの解析から口腔癌の発癌過程に伴い誘発されるエピジェネティックな異常と、癌リスクマーカーの確立を図る。 平成24年度は1) 口腔扁平上皮癌細胞株を用いたEMTモデルシステムの構築を行った。口腔扁平上皮癌細胞株を用い、TGF-βを5ng/mlの濃度で3週間添加した (post-EMT細胞)。経時的な細胞形態を観察した。TGF-βにてEMTを誘導後3週間後の細胞の細胞増殖能について観察した。また、浸潤能についてはInvasion chamber (BD社)を用いて検討した。比較対象としてはTGF-βによってEMTを誘導する前の細胞を用いた。 (pre-EMT細胞)。2) EMT誘導後の口腔扁平上皮癌細胞の形質の検討を行った。 pre-EMT細胞、post-EMT細胞よりRNAを抽出し、cDNAを合成し、上皮型マーカーの指標であるE-cadherinと、間葉型マーカーの指標であるN-cadherinの発現をRNAレベルにてreal time PCR法を用いて解析した。pre-EMT細胞、post-EMT細胞よりタンパクを抽出し、E-cadherinと、N-cadherinの発現をタンパクレベルにてWestern blot法を用いて解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔扁平上皮癌細胞に上皮間葉移行を誘導させるにあたり、各細胞によってTGF-βの濃度設定を決定するのに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は1) 上皮間葉移行誘導前、後における網羅的メチル化の解析を行う①、pre-EMT細胞、post-EMT細胞より、DNAを抽出する。抽出したDNAはバイサルファイト処理を行う。その後、HumanMethylation27 BeadChip (Illumina社)を用いて網羅的なDNAメチル化の解析を行う。②、BeadStudio Methylation Module (Illumina社)を用いて、得られたデータを解析しEMT誘導に伴うDNAメチル化の異常が存在するかを明らかにする。2)上皮間葉移行誘導前、後における遺伝子発現解析。①、pre-EMT細胞、post-EMT細胞より、RNAを抽出する。Reverse transcriptionしてcDNAを合成し、Human Gene 1.0 ST Arrayを用いて遺伝子発現を解析する。②、1)における結果と統合し、遺伝子発現と相関するメチル化候補遺伝子に着目する。3)癌幹細胞にて高頻度に異常メチル化に制御を受ける遺伝子群の検索。1)、2)から得られた結果を解析し、上皮間葉誘導に伴い高頻度にメチル化の変化を受ける遺伝子の同定を行う。DAVID website (http://niaid.abcc.ncifcrf.gov/summary.jsp)を用いて異常メチル化候補遺伝子の分子生物学的機能について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画としていは網羅的DNAメチル化の解析を行うに当たり必要なメチル化アレイ、各種試薬に使用する。また、成果発表の際の論文投稿用費用として使用する。
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