本研究は,大脳皮質におけるプロポフォールの作用について,ニューロンの組み合わせに着目し,単一シナプス応答性抑制性シナプス後電流の解析を行なった。その結果,(1) プロポフォールは,シナプス後細胞のGABA(A)受容体に作用し,抑制性介在ニューロンよりも錐体細胞を強く抑制する,(2)プロポフォールは大脳皮質において,抑制性シナプスのうち,シナプス前細胞がfast-spiking細胞,シナプス後細胞が錐体細胞のシナプスに対して最も強く作用することを見いだした。以上の結果からプロポフォールは,錐体細胞を選択的に抑制することにより,皮質からの出力を抑制して鎮静作用を発揮している可能性が考えられる。
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