研究課題/領域番号 |
24792261
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
小澤 重幸 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (40434394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 扁平上皮癌 |
研究概要 |
我々は、BRAKのプロモーターがメチル化している癌細胞を用いて、EGF受容体阻害剤単剤では抗腫瘍効果が得られないものの、メチル化阻害剤(アザシチジン)を先行投与すると、一転して、EGF受容体阻害剤は著しい腫瘍縮小効果を示す結果を得た。本研究結果からBRAKプロモーターのメチル化への着目は、EGF受容体阻害剤の投与前の効果判定マーカーとして非常に有望であり、テーラーメイド医療への応用の可能性を示す。以上のことから、① BRAKのプロモーターのメチル化とEGF受容体阻害剤の効果の関連性とその解除法、② BRAKの分子生物学的な腫瘍縮小効果メカニズムの解明を課題とする。24年度は、BRAKの発現調節にかかわる転写因子の同定に従事した。以前の研究で、ナラプロテクノロジーとBRAKの発現上昇に関与する転写因子、低下に関与する転写因子のスクリーニングを行った結果、複数の転写因子が候補遺伝子として明らかとなった。そこで24年度はsiRNAを用いて、それぞれの転写因子の同定を行った。結果として、発現上昇に関与する転写因子はSP-1、発現低下に関与する転写因子はNFkBであることが明らかとなった。今後、上記2種の転写因子が、EGF受容体阻害剤とメチル化阻害剤(アザシチジン)の併用療法の際に、活性化が生じるかどうかを解明することは、今後の研究で克服すべき課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、BRAKのプロモーターのメチル化の有無を標的とした研究である。プロモーター部位の同定及びメチル化部位の特定は、すでにパイロシークエンス、メチル化特異的PCR法にて終了しており、また、転写因子結合部位に結合する発現上昇及び発現低下に関与する転写因子まで明らかとなったことから、当初の目的通もしくはそれ以上に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
我々はこれまでに、頭頸部扁平上皮癌細胞18株を用いてBRAKの発現頻度を検討した。さらに、発現が確認される癌細胞ではEGF受容体阻害剤でBRAKの発現は回復し抗腫瘍効果が得られたが、実際には過半数以上の癌細胞 (約65%) で発現は確認されず、EGF受容体阻害剤による抗腫瘍効果が得られないのが現状である。そこで我々はBRAKの発現消失の原因を解明するため研究を進めたところ、転写開始領域より上流約15bpに存在するCpC islandがBRAKの転写因子結合配列であり、BRAKの発現していない癌細胞では同部位がメチル化している結果を得た。25年度は24年度に明らかにしたBRAKの発現調節に関与する転写因子が上記メチル化部位に結合するかどうかについて詳細に検討するとともに、転写因子までのシグナルを詳細に解明することを目的とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記研究を遂行するために必要な物品としては、メチル化解除するためのメチル化阻害剤、及びEGF受容体阻害剤などの薬剤、また、SP-1及びNFkB等の転写因子に対しる抗体、転写因子のDNAへの結合を確認するためのChIPアッセイのキットである。25年度は受託サービスを必要とせず、おもに分子学的実験に使用する試薬や細胞培養に使用する培地や血清などの消耗品に科研費を使用する予定である。
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