研究課題/領域番号 |
24792275
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
高原 円 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (20454150)
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キーワード | 睡眠 / ストレス / 子ども |
研究概要 |
本研究は,小児の睡眠健康・精神的健康と歯ぎしりの機能に及ぼす日常的ストレスの影響を明確に示すことを目指し,フィールドの日常的なストレスに対して同様に適応的に生じると予測される小児の歯ぎしりのパターンと睡眠・覚醒リズムとの関係を直接的に解明することを目的としている。 本年度も引き続き,福島市に住む幼稚園,保育園,小学生とその保護者を対象とした,震災後の心理的ストレスと睡眠習慣に関する大規模調査を実施し,震災の記憶が薄れいく中でのストレスの影響の変化を解析した。子どもたちの心理的ストレスは母親の感じている心身のストレスと密接に関係しており,更に,子どもたちの示すストレス行動は,睡眠問題と高く相関していた。中でも,睡眠習慣の乱れや,歯ぎしりや悪夢といった睡眠時随伴症の症状がストレスと関連していることも示すことができた。この相関は,震災後3年間の調査の中で徐々に低くなってきていたが,本年度は東北圏以外の県外の親子にも同様の調査を行って比較した結果,かなり高いストレスレベルで留まっており,その影響が睡眠習慣にも見られることが分かった。このことについては,震災後の県内の子どもたちの肥満率や体力テストの成績の低下が危惧されることなどを含めて,研究協力者として日本心理学会で,また日本発達心理学会大会のシンポジウムの中で報告した。 一方で,フィールド実験に協力していただく親たちの選定と機器の準備をようやく完了することができたので,引き続き実験と解析を進めていくものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用を予定していた歯ぎしり測定のための機器が発売されなくなったという不測の事態を受け,代替機器の選定に時間が掛かった。代わりとなる実験を開始する準備は引き続き進めている。一方で,他大学との共同研究や海外での研修を積極的に行い,本研究を実施するにあたって,解析協力者を得るなど非常に有益となる活動を精力的に行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,小児を対象とする在宅での長期測定実験の例数を増やしていく。普段睡眠をとっているベッドのマットレス下に非装着型の睡眠・覚醒リズム評価装置を設置し,最低14日間測定する。その間,保護者にはストレス事態などの日誌と5段階評価をつけてもらう。就寝前と起床後には,唾液を採取し,ストレスと関連したコルチゾルリズムを測定する。同時に,可能な協力者に対しては,長期記録型の咬筋活動評価装置と簡易型歯ぎしり評価および睡眠ポリグラフ測定を2回行い,詳細な歯ぎしりパタンと睡眠内容を確認する。日常ストレスの評価の変動については,母親による評価と,客観的なELISA(酵素免疫測定法)による唾液中コルチゾル濃度を用い,就寝前後の唾液中コルチゾル濃度変動を測定する。唾液のホルモン量測定に関しては,長岡技術科学大学の協力を得て行う。睡眠時歯ぎしりの変動評価に関しては,実験期間中に2回測定を行い,相当の協力謝金を支払う。脳波や筋活動の測定には,ポリメイト(ティアック社)やSleepProfiler(MAGnet社)を使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用を予定していた歯ぎしり測定のための機器が発売されなくなったという不測の事態を受け,代替機器の選定や計画の見直しに時間が掛かった。唾液の解析のために確保していた予算も,実施の遅れにより当該年度には必要とならなかったため,来年度請求する。 小児を対象とする在宅での長期測定実験により,普段睡眠をとっているベッドのマットレス下に非装着型の睡眠・覚醒リズム評価装置を設置し,最低14日間測定する。日常ストレスの評価の変動については,母親による評価と,客観的なELISA(酵素免疫測定法)による唾液中コルチゾル濃度を用い,就寝前後の唾液中コルチゾル濃度変動を測定する。唾液のホルモン量測定に関しては,長岡技術科学大学の協力を得て行う。睡眠時歯ぎしりの変動評価に関しては,実験期間中に2回測定を行い,相当の協力謝金を支払う。脳波や筋活動の測定には,ポリメイト(ティアック社)やSleepProfiler(MAGnet社)を使用する。
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