研究課題
若手研究(B)
外科的矯正治療、特に下顎骨後方移動術の適応は顔貌および咬合状態の劇的な改善、適切な口腔機能の獲得が期待できる一方、口腔内容積が減少し、舌房が狭くなることにより睡眠呼吸障害を発症する可能性が指摘されるそこで、我々は外科的矯正治療前後での硬組織の大きさと軟組織量との解剖学的バランス(Anatomcal Balance)の変化と睡眠時呼吸機能との関連性を解明し、そしてAnatomical Balanceの変化が形態的、機能的に安定した外科的矯正治療の立案の指標となり得るかを検討することを目的とした。平成24年度、まず我々は後ろ向き研究として、過去に顔面非対称を伴わない骨格性下顎前突患者に顔貌と咬合機能の改善のために下顎骨後方移動術を適応した患者8名のLower Facial Cage (LFC)、Tongue(TG)を計測し、Anatomical balanceを計測した。その結果、手術前、手術後、手術後1年でこれらの検討項目に統計学的な有意差は認めなかった。これらの結果から下顎骨後方移動術の施行は、顎顔面領域のAnatomical balanceに明らかな変化を生じるには至らない可能性が示された。これは全身的に何らかの補償機構が作用している事も示唆しており、今後形態的などのような変化が生じているかより詳細に検討する予定としている。また、インフォームド・コンセントを書面で得た下顎骨後方移動術(上顎骨切術併用を含む)を施行する骨格性下顎前突患者5名に術前後でこのアプノモニターを用いてApnea Hypopnea Index(AHI)、血中酸素飽和度(SpO2)の計測を行った。今回は術後1週間での計測であったこともあり、数値のばらつきが目立つ傾向にあったが今後は術後数ヶ月が経過し腫脹も減少した患者に同様の検査を行い再度計測結果について検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究機関における研究倫理委員会の承認がやや遅れたこともあり、臨床機能の評価の開始が遅れたことがマイナスの評価として挙げられる。また、被験者のリクルートはおおむね順調と考えられる一方、就寝中の検査ということもあり、被験者が無意識にモニターを外してしまうなど予期せぬ事象が生じ、データとして使用できなかった被験者も数名存在した。
まず、アプノモニターやライとボックスの台数を増数し、必要時に確実にデータの採得が可能になるようにハード面の充実を図ることで研究を推進していくことを考えている。また、また被験者をリクルートする際により詳しくアプノモニターの使用法について説明し、十分な時間をかけて研究の意義とともに適切に装置が使用できるようにアプローチを試みる。
該当なし
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)
Eur J Histochem.
巻: 56 ページ: 142-148
10.4081/ejh.2012.e23
Cleft Palate Craniofac J.
巻: 50 ページ: 192-200
10.1597/11-123
日本顎変形症学会雑誌
巻: 22 ページ: 255-263
巻: 22 ページ: 12-19