研究課題
顎変形症患者に対する外科的矯正治療の適応、特に下顎骨後方移動術の適応は顔貌および咬合状態の劇的な改善する事が可能であり、患者の社会心理的問題の改善や咀嚼、発音など適切な顎口腔機能の獲得が期待できる。その一方で、下顎骨が後方へ移動する、すなわち下顎骨の前後径が短縮されるため口腔内容積が減少し、舌房が狭くなることにより舌や頚部軟組織が気道を閉塞し生じると言われている閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstractive Sleep Apnea Syndrome; OSAS)に代表される睡眠呼吸障害を惹起する可能性が指摘されている。我々は外科的矯正治療前後での上下顎骨に代表される硬組織の大きさと軟組織のボリューム、およびそれらの比率と考えられている解剖学的バランス(Anatomical Balance)の変化と睡眠呼吸機能との関連性を解明し、顎顔面における硬軟組織の変化が、形態的機能的に安定した外科的矯正治療の立案の指標となりうるかを検討するために本研究を開始した。我々まず顔面非対称を伴わない骨格性下顎前突症患者に顔貌と咬合機能の改善を目的に下顎骨後方移動術を適応した患者の側面頭部X規格写真からLower Facial Cage、Tougueの面積を計測し、Anatomical Balanceを算出した。その結果手術前、手術後、手術後1年でAnatomical Balanceは統計学的に優位な変化を認めなかった。つまり外科的矯正治療により相対的に増大した軟組織が何らかの形態的変化が生じ睡眠呼吸機能を維持している可能性を見出した。その後外科的矯正治療前後での舌や舌骨位置の変化と睡眠呼吸機能の関連を示すデータを複数学会に発表した。
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Anat Sci Int
巻: 91 ページ: 196-206
10.1007/s12565-015-0285-y.
日本顎変形症学会雑誌
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