下顎骨後方移動術は患者の社会心理的問題の改善、適切な口腔機能の獲得が期待できるが、睡眠呼吸障害を惹起する可能性がある。我々は外科的矯正治療前後での解剖学的バランスの変化と睡眠呼吸機能との関連性を解明し、顎顔面領域の硬軟組織の変化が、機能的に安定した外科的矯正治療の立案の指標となるかを検討した。 本研究では下顎骨後方移動術前後では解剖学的バランスの変化は少なく、また舌や舌骨の位置変化と睡眠呼吸機能に関連性があることが示された。これらのことから外科的矯正治療により相対的に増大した軟組織に何らかの形態的変化が生じ睡眠呼吸機能を維持している可能性が示唆された。
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