研究課題/領域番号 |
24792279
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石田 宝義 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (90549966)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 空間認知記憶 / 咀嚼刺激 / 成長期 |
研究概要 |
近年、高齢化社会の進行に伴い認知症は大きな問題となっている。その中で不適切な咀嚼環境が認知症を惹起するとの報告は多く認められ、青年期、老年期において、抜歯、臼歯削合モデルなどの、咬合刺激低下ラットでは、咀嚼刺激の低下が海馬の組織変性を惹起し、空間認知記憶能力を低下させるとの報告がある。しかし、成長期における咀嚼刺激の低下が空間認知記憶能力に与える影響についての報告は少ない。本研究では成長期における咀嚼刺激の低下が記憶学習能力に与える影響を調査する為、行動生理学的手法にて調査すると共に、そのメカニズムの解明する為、第一端として海馬を主軸に調査し、成長期において咀嚼環境を改善する必要性を立証することを目的とした。離乳直後(3週齢)のWistar系雄性ラット(n=60)を、固形飼料飼育群(対照群:n=30)と液状飼料飼育群(実験群:n=30)の2群に分け飼育し、8方向放射状迷路を用いて記憶学習能力を評価した。4週齢にて装置に対する馴化を行い、5、6、7、8、9週齢にて報酬位置固定型課題(Fixed-position reward task;FPR)を行った。ビデオキャプチャリングシステムにて記録し、行動解析を行う。解析項目として、短期記憶を示す作業記憶エラー、長期記憶を示す参照記憶エラーおよび包括的記憶を示す正選択数を設定した。行動実験終了後5、7、9週齢にて記憶の形成に重要な役割を示す海馬を評価するため、通方に従い脳を固定、パラフィン包埋し、3ミクロン厚の海馬連続切片を作製後、組織学的に検討した。その結果実験群において記憶の低下が認められ、海馬における細胞の局在に変化が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在結果がおおよそでてきたこと。それをもとに学会発表は完了し、現在論文作成を並行して行っている。またこれらをもとに、後輩が更なる研究を開始していることから概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
行動実験の結果にばらつきがあるため必要であれば追加実験を行う。余力があれば免疫染色を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
更なる行動データ、切片の採取。また可能であればメカニズムの解明に努める。そのためラット、試薬、ソフトの購入を行う。
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