研究課題
近年、高齢化社会の進行に伴い認知症は大きな問題となっている。その中で不適切な咀嚼環境が認知症を惹起するとの報告は多く認められ、青年期、老年期において、抜歯、臼歯削合モデルなどの、咬合刺激低下ラットでは、咀嚼刺激の低下が海馬の組織変性を惹起し、空間認知記憶能力を低下させるとの報告がある。しかし、成長期における咀嚼刺激の低下が空間認知記憶能力に与える影響についての報告は少ない。本研究では成長期における咀嚼刺激の低下が記憶学習能力に与える影響を調査する為、行動生理学的手法にて調査すると共に、そのメカニズムの解明する為、第一端として海馬を主軸に調査し、成長期において咀嚼環境を改善する必要性を立証することを目的とした。最終年度にには5、7、9週齢にて行動実験終了後、テストの翌日に屠殺し、脳を10%中性緩衝ホルマリンで浸漬(しんせき)固定したものから、パラフィン包埋し3ミクロン厚の海馬切片を作製後、CA1、CA3、DG領域の神経細胞密度を計測した。また追加実験も行った。その結果、対照群内比較において作業記憶エラーは有意に低下、正選択数は有意に増加、参照記憶に有意差はなかった。実験群群内比較においてすべての項目において有意差はなかった。群間比較においては有意に差はなかった。CA1、DGの神経細胞密度が群間比較において有意に増加した。成長期の咬合刺激の低下は、空間認知記憶に影響をおよぼすことが示唆された。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J Neurosci Res.
巻: / ページ: /
10.1002/jnr.23383