研究課題/領域番号 |
24792281
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石原 嘉人 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70549881)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 骨細胞 / 細胞内カルシウム / NO / ギャップ結合 |
研究概要 |
骨の成長および維持には、外界からの機械的刺激が極めて重要であり、その代謝調節は、骨深部に存在する骨細胞と、骨表面に存在する骨芽細胞や破骨細胞との協調的かつ連鎖的なシグナル伝達により起こると考えられている。骨細胞は、機械的刺激を感受・応答する役割を担うだけでなく、様々な骨疾患の標的細胞として最も注目される細胞である。一酸化窒素(NO)は生体内におけるシグナル伝達の主要分子で、骨細胞への機械的刺激に関連したシグナル伝達に関与し、骨形成作用における必須因子である。しかし、周囲を堅い骨基質に覆われている骨細胞の特性上、生体中での動態解明は国内外で未だ実現に至っていない。本研究は、生きた骨の中で起こる骨細胞応答の可視化を行い、機械的刺激シグナルの伝達機構について異種細胞群の集合体からなる骨組織中で細胞レベルから解明する事を目的とする。 これまでの研究結果から、1.定常状態で骨芽細胞および骨細胞にカルシウムオシレーションを認めた。機械的刺激を負荷した場合の細胞の反応率は、骨芽細胞および骨細胞とも有意に上昇した。また反応群におけるオシレーションの頻度や高さは、骨芽細胞は機械的刺激によって有意に上昇したが、骨細胞では変化を認めなかった。2. ギャップ結合を阻害した結果、骨芽細胞の細胞応答は変化を認めなかったが、骨細胞はその反応率において有意に減少した。 以上の研究成果は、国内外の学会で発表を行い、ASBMR(American Society of Bone and Mineral Research) 2012 President's Poster Competition Award 、ANZBMS 2012 Travel Award、日本矯正歯科学会大会優秀発表賞、日本骨形態計測学会学術奨励賞をそれぞれ受賞した。さらに国際誌Boneに論文受理され、Cover imageを飾った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
11. 現在までの達成度 胎生16日齢のニワトリ胚頭蓋骨を摘出後、カルシウム蛍光指示薬にて骨組織内に存在する骨細胞を生きた状態のまま光学的に可視化させる事に成功した。共焦点レーザー顕微鏡システムを用い、3次元立体像を構築後、細胞内に取り込ませた蛍光輝度の分布を、3秒間隔でリアルタイムに観察する事に成功した。 さらに流体剪断応力を用いて、生きた骨組織への機械的刺激を負荷し、骨組織深部に存在する骨細胞について細胞活動の変化についても解析を可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
骨組織への機械的刺激を付与した場合に生じる細胞応答に対して、3種類のNO合成酵素(i-, e-, nNOS)が増幅や同調、抑制などの関与をしているのかそれぞれの特異的阻害剤を用いて検討を予定している。一方で、NOシグナルの動態に影響を与える伝達因子として報告されている ATP, Ca2+ , IP3などの関与についても阻害剤を用いて検討する。In vivoの実験においては、HEによる組織学的解析、TRAP染色、Tunnel染色を行い、その相違を検討し、NOSが力学的負荷を与えた骨細胞の初期反応において果たす役割の詳細を解明する。 In vitroの実験においても、我々の開発した骨組織からの骨細胞単離法を用いて骨細胞を単離し、我々が既に開発したフローモデルを用いて単離細胞に流体剪断応力を負荷後mRNAを取り出し、CCNやc-fosなどのimmediate early gene(初期発現遺伝子)の発現を観察することでNOSが骨細胞でどのように産生されるのかを分子生物学的に解析する予定である。 研究成果については、日本骨代謝学会、日本矯正歯科学会等の国内学会に発表し、それらを踏まえ国際誌に論文投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で使用する実験用動物、抗体、試薬および消耗品に加え、NO合成酵素阻害薬の購入に充てる。また、研究成果を発表するにあたり、国内学会の日本矯正歯科学会および日本骨代謝学会や国際学会であるASBMR (The American Society of Bone and Mineral Research), EOS(Europian Orthodontic Conference)等の国際学会へ参加する予定である。研究成果を外国語論文として報告する際の英文校閲費、学会発表時のポスター作製費用、論文掲載料を見込んでいる。
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