研究課題
本研究は、生きた骨の中で起こる骨細胞応答の可視化を行い、メカニカルストレスに起因したシグナルの伝達機構について異種細胞群の集合体からなる骨組織中で細胞レベルから解明する事を目的とする。一酸化窒素(NO)は、歯科矯正学的な歯牙移動を含めた生体内におけるシグナル伝達の主要分子で、骨細胞へのメカニカルストレスに関連したシグナル伝達に関与し、骨形成作用における必須因子である。当初の計画では、NOシグナルを指標とした検討を試みた。しかしながら周囲を堅い骨基質に覆われている骨細胞の特性がNO蛍光指示薬導入の障壁となったため、カルシウムシグナルを指標とした生体中での動態解明を試みた。これまでの研究結果から、1.定常状態で骨芽細胞および骨細胞にカルシウムオシレーションを認めた。メカニカルストレスを負荷した場合の細胞の反応率は、骨芽細胞および骨細胞とも有意に上昇した。また反応群におけるオシレーションの頻度や高さは、骨芽細胞はメカニカルストレスによって有意に上昇したが、骨細胞では変化を認めなかった。2. ギャップ結合を阻害した結果、骨芽細胞の細胞応答は変化を認めなかったが、骨細胞はその反応率において有意に減少した。以上の研究成果は、ASBMR(American Society of Bone and Mineral Research)、日本骨代謝学会、日本矯正歯科学会、骨形態計測学会等の国内外の学会で発表を行い、ASBMR 2012 President's Poster Competition Award 、ANZBMS 2012 Travel Award、日本矯正歯科学会大会優秀発表賞、日本骨形態計測学会学術奨励賞、歯科基礎医学会賞をそれぞれ受賞した。得られた結果は国際誌Boneに論文受理され、Cover imageを飾り、関連した研究内容を総説として日本骨形態計測学会雑誌、Journal of Oral Biosciencesにて報告した。
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巻: in press ページ: in press
10.1016/j.job.2014.03.002
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