研究課題/領域番号 |
24792290
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石本 恭子 徳島大学, 大学病院, 助教 (60579952)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | D-dopachrome tautomerase / 脂肪細胞 / 脂肪細胞分化 / 転写調節 |
研究概要 |
D-dopachrome tautomerase(DDT)の発現は、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化に伴い増加するが、脂肪細胞の肥大化により低下することから、その発現量が肥満と関連することが示唆される。そこで、DDTの発現調節に関与する転写調節領域ならびに転写調節因子を同定することを目的とした。 以前に、DDT遺伝子の転写開始点を基準とした(-272/+23)領域に転写活性に重要な領域が含まれることを明らかにした。そこで、さらに活性化の高い領域を絞り込むため、候補塩基配列として(-200/+23)、(-150/+23)領域を各々挿入したルシフェラーゼベクターを構築し、前駆脂肪細胞に導入後、脂肪細胞分化誘導を行った。分化開始3日目でのルシフェラーゼ活性は、(-272/+23)領域と比較すると、(-200/+23)領域でより高い値を示したのに対し、(-150/+23)領域では小さい値を示した。したがって、(-200/+23)領域をDDTの転写活性に重要な領域とした。続いて、転写調節因子の候補として考えられるC/EBPα、β、δを発現するベクターを作製し、各々前駆脂肪細胞で強発現させ、2日後(-200/+23)領域でのルシフェラーゼ活性を測定したが、いずれも活性化が見られなかったことから、C/EBP familyはDDTの転写調節に関与しないことが示唆された。 以上の結果をもとに、今後DDTプロモーター領域(-200/+23)のDNAに結合する脂肪細胞の核抽出物から、質量分析にてDDT転写調節因子の同定を行い、発現調節機構を明らかとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種DDTプロモーター領域を含むルシフェラーゼベクターを作製し、さらに転写活性の高い領域の絞り込みを行うことに時間を要した。 また、バイオインフォマティクスによりDDTプロモーター上に結合すると予測された候補タンパク質(C/EBP)に焦点を当て、DDTプロモーター活性化度の検討を行ったが、C/EBPは転写活性化に関与しないことが示された。そのため、転写調節因子の同定のためには、さらにDDTプロモーター領域に結合するタンパク質の質量分析による解析を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
DDTプロモーターDNAアフィニティカラムを作製し、脂肪細胞の核抽出物をカラムで展開する。得られた結合蛋白質を質量分析により同定し、その抗体によるChIPアッセイ、あるいDDT-Luc-SGBSに発現させ、分化誘導後のルシフェラーゼ活性の上昇(低下)を指標に、プロモーターとの結合能及びDDTの転写調節因子であるかを確認する。 さらに、同定した転写因子の正常脂肪細胞および肥満脂肪細胞での発現変動についても検討する。また、DDTの発現に影響を与える可能性がある因子(低酸素、脂肪酸など)についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越額は遺伝子解析用試薬および生化学解析用試薬に使用する予定である。
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