研究課題/領域番号 |
24792291
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 直久 九州大学, 大学病院, 医員 (70614303)
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キーワード | 歯根吸収 / 矯正的歯の移動 / アレルギー / ロイコトリエン / 破骨細胞 / 骨吸収 / 脂質メディエーター / 骨代謝学 |
研究概要 |
矯正治療の際に起こる歯根吸収は解決すべき重要な課題だが、未だ原因の究明には至っていない。我々は疫学調査や動物実験により、アレルギー疾患自体が歯根吸収のリスクを高める可能性を報告しており、そのメカニズム解明を進めてきた。 我々はアレルギー疾患モデルとして知られているBrown Norway (BN)ラットに卵白アルブミン (OVA) 感作を行い、IgEや炎症などアレルギー惹起を行った後、ラットをOVA感作および上顎第一臼歯 (M1) への矯正力負荷群、OVA感作群、矯正力負荷のみの群、無処置群の4群に分けて行った。 24時間の矯正力負荷後のM1周囲歯槽骨におけるDNAマイクロアレイ網羅的発現解析により、OVA感作および矯正力負荷群では他の群と比較して、Resolvin E1の受容体であるchemokine-like receptor 1 (Cmklr1)およびBLT1の発現上昇が認められた。さらにRNAサンプルによるReal-time PCR解析を行った結果、Cmklr1およびBLT1 mRNA発現が、OVA感作および矯正力負荷群で他の群と比較して上昇していることが確認された。 今後は、Resolvin E1などの抗炎症性脂質メディエーターが矯正的歯の移動時に生じる歯根吸収に対して抑制的な効果を有するかどうかについて、ラットモデルに対する薬剤投与実験を行い、歯根吸収量や骨吸収マーカーの変動について解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状では、研究は順調に進行し、ほぼ計画通りに成果が得られている。しかし、薬剤投与実験のための投与法、薬剤濃度の検索のために時間を要したため、今後の順調な成果獲得のために、更なる実験が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験により、薬剤投与法の手技を確立し、スムーズな実験遂行のために障害となる問題は減少した。今後はサンプル収集について効率を上げることにより、研究推進スピードを上げていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラットへの薬剤投与実験法を確立するのに時間を要したため、実験進行に遅れが生じてしまったため。 薬剤投与実験に使用するラット購入費および薬剤購入費に使用する予定である。
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