研究実績の概要 |
BNラットをアレルギーおよび上顎第一臼歯(M1)への24時間の矯正力負荷群、アレルギー群、矯正力負荷のみの群、無処置群の4群に分けて実験を行い、M1の歯周組織のRNA解析および組織解析を行った。 まず、DNAマイクロアレイによるRNAの網羅的発現解析を行った結果、アレルギーおよび矯正力負荷群では他の群と比較して、RANKL、IL-1、TNF 、Th17細胞関連サイトカイン(IL-17a, IL-23a)およびプロスタグランジン、ケモカインの発現が上昇していた。さらに、炎症性脂質メディエーターであるロイコトリエン(LT)群の発現が上昇していた。 さらにRNAサンプルによるReal-time PCR解析やconventional PCR解析を行った結果、炎症性サイトカインであるIL-1やIL-6とともに、LTB4関連因子(5-lipoxygenase, LTA4h)やLTB4受容体であるBLT1やBLT2 mRNAの発現が、アレルギーおよび矯正力負荷群において他の群と比較して上昇していることが確認された。併せてELISA法にてLTB4の局所における発現量を調べたところ、アレルギーおよび矯正力負荷群では他の群と比較して発現量の増加が認められた。また、IL-17a,やIL-23a mRNAの発現も上昇しており、Th17細胞との関連性が示唆された。 今年度は歯の移動局所における発現動態を調べるため、免疫組織染色を行った。LT合成酵素である5-lipoxygenaseおよびLTB4受容体であるBLT1が矯正力負荷により圧迫された歯根膜に集積して発現していることが示唆された。
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