感染性心内膜炎は疣贅と呼ばれる血小板やフィブリンと細菌の塊を形成し、全身性の炎症を生じ多彩な臨床像を呈する疾患として知られている。本疾患の原因菌は主に口腔由来のビリダンスレンサ球菌であることが指摘されているが、その発症メカニズムについては不明な点も多い。本研究では、心内膜炎病巣部より分離された菌株S. oralis 308株の全ゲノム配列の決定を行うとともに、すでに公表されている非病原性株とのゲノム比較を行い、病原遺伝子の網羅的解析を行うことを目的とした。本年も昨年度に引き続き、S. oralis 308株の全ゲノム解読を行った。解読した配列は1つのスキャホールドに収束することができたが、まだわずかにギャップが存在するのみである。したがって、ゲノム解読は概ね終了しており、今後はゲノム比較株との遺伝子比較を行い、病原遺伝子の網羅的探索を試みる。
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