研究課題
口唇は嚥下中に重要な役割を担うと認識されているが、嚥下中の口唇の動きを定量的に評価した研究はみあたらない。そこで、本研究の目的は、嚥下中の舌圧と同時に、客観的に唇の動きを定量的に評価することである。被験者は健康成人男性9名(平均年齢:25.4±2.1歳)とした。計測にはモーションキャプチャを用いた。口唇運動記録は、左右口角部に1点ずつマーカーを貼付し、嚥下時舌圧測定は、小型圧力センサをシーネの切歯乳頭部付近に装着して同期計測した。被験者には、水5mlと20mlを口腔内に保持させて自分のタイミングにて一口で嚥下させた。また、嚥下時と安静時の口角間距離の差を求めるために、口唇を閉じて安静状態の計測を5秒間行った。嚥下時の最大舌圧値、嚥下時の最大口角間距離と安静時口角間距離の差(口角間距離変化量)、口唇から舌が作用するまでのタイミングを調べるために、舌圧が最大となる時間と口角間距離変化量が最大となる時間の差(口唇-舌 時間)を求めた。上記3項目において、水量の相違による差についてWilcoxon検定を用いて検討した。一口量の増加により、舌圧に差はなかったが、口角間距離変化量は有意に大きく、口唇-舌 時間は短くなった。このことから、一口量が増加したために口唇の協調性がより求められ、舌よりも口唇の動きが嚥下を補助したと推察された。本結果は、嚥下時の口唇運動の定量評価が可能であったことを示唆した。
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