研究課題/領域番号 |
24792312
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
割田 幸恵 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (50386257)
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キーワード | フッ素化アパタイト / カリエスリスク判定 / エナメル質 / 光学的検索 |
研究概要 |
本研究は、小児歯科臨床で望まれる「最小の介入で最大の効果を上げる過不足ないフッ化物による予防的対応」を行うために、①光学機器と光励起蛍光定量法(QLF)を用いて健全エナメル質の耐酸性(フッ素化アパタイトへの転化度:フッ素化度)を定量し、歯面のフッ素化度の過不足を客観的に評価する新たなカリエスリスク判定法を確立し、②フッ化物応用による口腔内エナメル質の耐酸性獲得の有無を、簡便かつ非侵襲的に測定できる光学機器の開発を目指すことを目標に、フッ素化アパタイト試料を実験的に作成し、光に対する特性を明らかにすることを目的としている。 昨年度に続き平成25年度においても、「耐酸性エナメル質(フッ素化アパタイト)試料の作製」のための試料として最適な「口腔内環境に曝露されていない」ヒト埋伏智歯の収集が困難だったため、さらに継続して収集することとした。昨年度、牛歯エナメル質試料を代用して行った光学式齲蝕検出装置(DIAGNOdentTM等)とデジタルカメラ付光学的齲蝕診断システム(QLF-D Biluminator)による画像データ診断(画像解析ソフトにて解析しデータを記録)をもとに、申請者所属講座保有のヒト抜去乳歯を対象にこれらの測定法を試みた。ヒト乳歯試料での測定結果は想定していたよりもばらつきが多かったが、今後収集されるフッ化物応用歴が明確な乳歯試料での測定では、そのばらつきが小さくなることが予想され、本研究のベースラインとなるフッ素化アパタイト試料の解析には有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、耐酸性エナメル質(フッ素化アパタイト)試料の作製については、研究実施計画では平成24年度中に試料作製マニュアル完成予定であったが、研究に最適なヒト完全埋伏歯が入手困難であったため遅れが生じている。 また、ヒト乳歯における耐酸性(フッ素化度)の検証については、申請者所属講座保有のヒト抜去乳歯を対象に、前年度に行った牛歯に対する測定方法を用いて、フッ素化度の測定を試みたが、試料によるばらつきが想定よりも大きかったため遅れが生じている。 その他として、申請者の妊娠に伴う体調変化により研究の遂行に遅れが生じている。 以上の理由により、研究実施計画よりもやや遅れていると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、ヒト歯試料の収集が思うように進まなかったことから、歯科医院や小児ならびにその保護者に対する協力要請の工夫も併せて行っていく。 また平成26年度は申請者の産休・育休の予定があるため、研究期間の延長を申請した上で、育休明けにおいては、歯学以外の外部機関の研究者・技術者等ともコンタクトを取り、本研究に適した技術の利用・導入(外部機関への委託)を積極的に行い、国際学会への参加が困難となることも予想されるため、そのための旅費として計上していた費用を委託料に充て、研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料作製に必要な新たなヒト歯の収集が困難だったことから、研究の進行に遅延が生じたため、試料分析委託料や研究成果発表・論文作成に関わる費用等について未使用であったこと、モバイル型PCが予定より安価で購入できたことから次年度使用額が生じることになった。 本研究推進のために試料としてのヒト歯の提供等、多くの人々の協力を得ることが必要不可欠であることから、協力に対する謝礼について当初予定していたよりも増額することを検討している。 今後、出産に伴う育休取得を予定しているため、その間における他の研究者や研究協力者との情報交換のためのIT機器購入を予定している。また育休明けの研究を遅延なく遂行するために試料分析等の外部機関委託の積極的な活用を検討しており、その委託料が予定よりも多くなると見積もっている。
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