研究課題/領域番号 |
24792315
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
太田 増美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (40410047)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | SNPs解析 / 齲蝕感受性 / リスク診断 |
研究概要 |
齲蝕発症は歯と唾液に代表される宿主、細菌、食餌の3つの主要因と時間の相互作用による多因子疾患である。これまで齲蝕罹患と遺伝要因との関連についての報告がされているが、最近ではSNPsを応用した遺伝子多型解析が容易となりヒトにおいて宿主を標的にした研究において齲蝕と関連を示唆する遺伝子が複数報告され始めている。研究代表者は齲蝕発症に関わる危険因子を特定し齲蝕発症に対するリスク診断法を確立するため齲蝕感受性に関わる候補遺伝子における Single nucleotide polymorphism (SNP)の特定を進めている。研究代表者は過去にマウスにおける齲蝕感受性に関与する候補遺伝子は染色体7、11番の特定領域に存在することを特定し、ヒトにおいてもその齲蝕感受性候補染色体領域に存在する候補遺伝子を対象にSNPs解析を試み、KCNJ12のSNPが齲蝕感受性に関わる危険因子となる可能性を報告している。 今回、染色体7、11番の特定領域に存在しヒトとのホモロジーがある遺伝子KLK4、DLX3において被験者200名から抽出したDNAを用いて遺伝子多型を調べS.mutansの有無とその保菌者のDMFT指数を調査し、S.mutansの存在するグループとS.mutansが存在しないグループの中でDMFTの2群間におけるSNPsのパターンを比較するSNPs解析を行った。その結果、DLX3のSNPにおいてS.mutansの存在する群で有意な傾向が認められ、KLK4のSNPにおいてS.mutansの存在しない群で有意な傾向が認められた。この結果からKLK4、DLX3のSNPが齲蝕感受性にかかわる危険因子となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
齲蝕感受性にかかわる候補染色体である染色体7、11番の候補遺伝子についての Single nucleotide polymorphism (SNP)解析を行っており、現在、齲蝕感受性にかかわる危険因子となる候補遺伝子のSNPsが特定されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまで報告している候補染色体7、11番の候補遺伝子に対して、5~6歳の被験者から抽出したDNAを用いて個々の遺伝子多型を調べる。またS.mutansの有無とその保菌者のDMFTから、S.mutansの存在するグループとS.mutansが存在しないグループの中でDMFT指数の高い人(3以上)と低い人(0-2)との2群間におけるSNPsのパターンを相関分析により比較して各SNPsと齲蝕罹患割合との関連性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該助成金が生じた状況:H25年度に繰り越して使用するため。 1.Single Nucleotide Polymorphism(SNP)のタイピング: ”TaqMan SNP Genotyping Assay System (Applied Biosystems, Foster City CA.)“を用い、各アレルを検出 する蛍光標識hydrolysis probe存在下でリアルタイムPCRを行うことにより、SNPアレルの存在を検出する。 2.多変量解析:SNPアレルあるいは遺伝子型と齲蝕経験(def)との相関分析をχ自乗検定(chi-square検定)を用いて行う。 3.成果発表:研究成果を学会に報告し、さらに論文として発表する。
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