研究概要 |
研究代表者は、これまで近交系マウスを用いたう蝕感受性遺伝子の存在する侯補染色体領域の絞り込みに成功し染色体11番上に存在することを報告している。近年、ゲノムワイド解析によりう蝕感受性との関連性を示唆する遺伝子が報告され始め、さらに遺伝性のエナメル質形成不全症の原因遺伝子とう蝕発症との関連性についても注目されている。候補染色体11番上に存在し、象牙質やエナメル質形成などの歯の発育との関連性が示唆されているDLX3遺伝子はヒトDLX3遺伝子と相同性のあることが報告されている。今回、遺伝性のエナメル質形成不全症の原因遺伝子の1つとされているヒトDLX3遺伝子の7つのSNPsについて被験者200名のDNAから遺伝子多型を調べS.mutansとその保菌者のdmftを調査し、S.mutans low level群とS.mutans high level群の中でdmftの2群間におけるSNPsのパターンを比較するSNPs解析を行った。その結果、S.mutans high level群においてう蝕感受性とrs2278163 SNPとの間に有意差が認められ、ほかの6つのSNP(rs11656951,rs10459948, rs2303466, rs3891034,rs12452477,rs16948563)において有意差は認められなかった。 これらのことからDLX3 のrs2278163 SNPがう蝕感受性に影響する可能性が示唆された。
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