研究課題/領域番号 |
24792317
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幹細胞 / ストレス / 歯周組織再生 |
研究概要 |
歯周組織の再生には幹細胞の存在が必須であり、目的の細胞に分化誘導することが重要である。歯周組織にも少数の多能性幹細胞が存在することが示唆されているが、それらを効率よく単離し、増殖させる方法は現在も確立していない。本研究では歯根膜組織に存在する幹細胞がストレス抵抗性を持つという指標で分離できるという仮説を検証し、その幹細胞が再生過程に関与することをマウス再植モデルを用いて明らかにすることを目的とする。 40週齢のC57BL6マウスを用いてoutgrowth法により皮膚由来細胞の遊離・培養を行った(初代培養)。分離したマウス皮膚由来細胞を培養し2、3継代後、細胞がサブコンフルエントになったところで、0.1%トリプシンを用いて8時間処理を行い(long-term trypsin incubation : LTT)、生き残った細胞の浮遊培養を行った。浮遊培養は非接着性の6 wellプレートを用いた。LTTにより生き残ったストレス抵抗性幹細胞が50~150 μm程度のクラスターを形成し、7日間の培養後、ゼラチンでコーティングしたシャーレで培養を行った。この操作を2、3回程度繰り返し、マウス皮膚組織よりストレス抵抗性多能性幹細胞の分離を行った。 マウス皮膚組織から分離した細胞が幹細胞の性質をもつか確認するために、多能性幹細胞マーカーであるNanog、Oct3/4およびSSEA-1の発現をreal time PCRを用いて遺伝子レベルで検討を行った。Real time PCRの結果より初代培養細胞に比べて、LTTで分離した細胞においてSSEA-1の発現の上昇が認められた。しかし、核型を調べたところ、染色体の数が通常の数に比べて増加していたため、マウス皮膚細胞の突然変異が起こったことが考えられる。今後はトリプシンの濃度および反応時間を詳細に検討し、ストレス抵抗性幹細胞の分離を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウス歯根膜組織より細胞分離が困難で、ストレス抵抗性幹細胞の分離を行うのに十分な細胞数が得られない状況である。 またマウス皮膚由来細胞を用いてストレス抵抗性幹細胞の分離を行っているが、トリプシンによる幹細胞分離において核型を調べたところ染色体の数の増加が認められ、マウス皮膚細胞の突然変異が起こったことが考えられる。このことはマウス皮膚細胞集団から純粋な幹細胞が分離出来ていないことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス歯根膜組織からの細胞分離については、細胞数を増やすための培養条件(O2濃度、血清等の添加物の種類とその濃度など)の検討をさらに行っていく予定である。またマウス歯根膜からの細胞分離が困難であるため、ラットおよびヒトの歯根膜細胞を用いて実験を行うことも検討している。 トリプシンによるストレス抵抗性幹細胞の分離の条件については染色体の数が変化しないよう、トリプシンの濃度および反応時間を詳細に検討し、ストレス抵抗性幹細胞の分離を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の試薬品代で割引がきいた試薬があったため1万円ほど余り繰り越し金額がでる結果となった。25年度は昨年度の繰越金約1万円を物品費、特に試薬代に使用する予定である。 本年度の直接経費の内訳を物品費861,560円、旅費200,000円、その他50,000円の計1,111,560円を予定している。
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