研究課題/領域番号 |
24792320
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 智美 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 技術専門職員 (50399953)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯根膜線維芽細胞 / 破骨細胞誘導能 |
研究概要 |
本研究は、食物の性状に基づく咀嚼刺激が、歯根膜線維芽細胞による破骨細胞の制御にいかなる影響を与えるか検索することを目的としている。歯根膜線維芽細胞の細胞生物学的作用について、平成24年度は以下の研究を遂行した。 1. 歯根膜由来線維芽細胞の分離:6週齢のWistar Ratよりエーテル麻酔下で、上・下顎臼歯を抜歯後、歯根に付着している歯根膜組織からコラゲナーゼ溶液およびトリプシン溶液を用いて細胞を分離した。FGF-2を添加したF12-HAM培地で2-3週間培養を行い、紡錘形の線維芽細胞様細胞が得られた。 2. 間葉系細胞の確認:歯根膜組織から分離培養した細胞を用いて、間葉系細胞のマーカーであるvimentinの発現を免疫細胞化学的染色により確認した。その結果、分離培養されたほとんどの細胞にvimentinの発現が確認された。このことにより、得られた細胞を歯根膜由来間葉系細胞として実験に使用した。 3. 破骨細胞制御因子の発現:前述1.2で得られた歯根膜由来間葉系細胞において、破骨細胞の制御に関わる因子の検討を行った。抗RANKLモノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学的染色によりRANKLの発現を確認した。その結果、多くの細胞においてRANKLの発現が認められた。またウエスタンブロッティングによる検索も行った。 以上の結果より、歯根膜線維芽細胞は破骨細胞制御機能能を持ち、歯槽骨における破骨細胞性骨吸収に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では平成24年度の実験において、歯根膜組織から分離した細胞を用いて破骨細胞前駆細胞との共存培養を行う予定であった。しかし歯根膜組織から歯根膜線維芽細胞の分離培養を行うための手技の確立に、当初の予定より時間がかかってしまい、破骨細胞前駆細胞と歯根膜線維芽細胞との共存培養による破骨細胞への誘導能の検討が次年度に繰り越しとなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、昨年度より持ち越した歯根膜由来線維芽細胞と破骨細胞前駆細胞の共存培養を含め以下のような実験計画で行う。 1. 歯根膜由来線維芽細胞と破骨細胞前駆細胞の共存培養:6週齢のWistar Ratの歯根より得られた歯根膜線維芽細胞と脾臓から得られる血球前駆細胞を共存培養させ、破骨細胞への誘導能を検索する。誘導された破骨細胞の分化・活性の程度は、破骨細胞特異的タンパクであるTRAP、カテプシンK、カルシトニンレセプターの遺伝子発現やタンパク発現、および各抗体に対する染色性といった指標によって確認する。 2. 咬合力が減弱・喪失した場合の歯根膜線維芽細胞の検索:練餌による飼育や対合歯歯冠削合による咬合力の減弱・喪失の実験モデルを作成し、歯根膜線維芽細胞の破骨細胞制御に関わる因子の発現を検索する。さらに破骨細胞前駆細胞との共存培養を行い、破骨細胞誘導能を検討する。 3. 咬合力が回復した場合の歯根膜線維芽細胞の検索:一定期間、上述のような咬合力の減弱・喪失が起こった後、固形試料による飼育および歯冠修復により咬合力が回復することで破骨細胞制御機構がどのように変化するかを検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の実験において、歯根膜組織から歯根膜細胞を分離するための手技の確立に、当初の予定より時間がかかってしまい、破骨細胞前駆細胞との共存培養による破骨細胞誘導能の検討が次年度に繰り越しとなってしまった。そのために研究費の一部も繰り越しになった。次年度においては、繰り越した共存培養による破骨細胞誘導能の検討実験を行う。また、咬合力が減弱・喪失した場合、さらには減弱・喪失し咬合力が回復した場合の歯根膜線維芽細胞に着目し、破骨細胞制御因子の発現量の検討および破骨細胞前駆細胞との共存培養を行う予定である。研究費については、25年度の研究費と24年度から繰り越した研究費を合わせて、これらの実験に必要な試薬・消耗品・実験動物の購入および飼育に使用する予定である。
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