研究概要 |
昨年度は尿素含有光感受性試薬を調製し、Er:YAGレーザー併用による歯石除去効率を評価した。 今年度は調製した試薬を用い、光感受性試薬・Er:YAGレーザー照射併用の歯周病原性細菌に対する殺菌効果の評価を行った。 P.gingivalisおよびA.actinomycetemcomitans菌液に5%,10%尿素濃度試薬をそれぞれ滴下後、Er:YAGレーザー照射を用いて照射(15S, 30S, 60S)を行い、嫌気培養後のコロニー形成数計測により殺菌効果を評価した。その結果、P.gingivalisにおいては照射時間に依存して細菌数が減少した。一方A.actinomycetemcomitansにおいては照射時間が長くなるにつれて細菌数の減少がわずかに認められた程度であった。またいずれの菌についても尿素濃度5%, 10%で違いで細菌数の有意差は認められなかった。 さらに、光感受性試薬・Er:YAGレーザー照射併用によるLPS除去率の評価を行った。カバーグラスにLPS,調整試薬滴下後レーザー照射(15S, 30S, 60S)を行い、照射後のLPS量(リムルステスト)よりLPSの除去率について評価した結果、エネルギー密度が上昇するほどLPS除去率は高くなる傾向にあったが、レーザー単独群と有意差は認められなかった。また現在aPDTの一つとして注目されている赤色LED・トルイジンブルー併用による殺菌効果と比較検討した結果、赤色LED・トルイジンブルーのほうが有意にLPS除去率が高かった。以上より尿素含有光感受性試薬・Er:YAGレーザー併用による歯周治療の新たな可能性が示唆された。
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