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2012 年度 実施状況報告書

TNF-αの新たな転写制御因子候補TDP-43の歯周病病態に果たす役割

研究課題

研究課題/領域番号 24792332
研究機関徳島大学

研究代表者

村田 裕美  徳島大学, 大学病院, 医員 (00583874)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードTNF-α / TDP-43 / LPS / 歯周病 / 転写
研究概要

歯周病は,歯周組織に存在する免疫担当細胞が歯周病細菌のLPSに対して働いた結果,炎症反応により組織破壊が起こる炎症性疾患である。その主体は単球/マクロファージであり,LPSの刺激を受けたマクロファージから最も早期に産生される炎症性サイトカインであるTNF-αは,免疫系の活性化や他の炎症性サイトカインの産生を誘導することから,歯周病の病態を修飾する最も主要で強力な炎症メディエーターであると考えられる。したがって,TNF-αの産生メカニズムを解明することは,歯周病を含む多くの炎症性疾患の治療戦略を考える上で非常に重要な研究課題である。
研究代表者はこれまでに,TNF-αの新規の転写制御因子の検索を目的として酵母one-hybrid法を用いたスクリーニングを行い,TNF-αプロモーターの中で転写活性の高い部位に結合するタンパクとしてTDP-43を同定した。本年度の研究では,マクロファージのTNF-α遺伝子発現におけるTDP-43の役割の検討を行った。まず,マクロファージ様細胞の培養系にLPSを添加したときのTDP-43発現を調べた。LPS添加後,早期(10~20分後)にTDP-43 mRNAの著しい発現上昇を認めた。タンパクレベルも10分後には上昇を認め,それはTNF-αmRNA発現の上昇(30~120分後)に先行していた。次に,発現ベクターを用いてTDP-43を過剰発現させた細胞では,mock細胞と比べてTNF-αmRNAの発現量が増加した(LPS非添加)。さらに,siRNAを用いてTDP-43 mRNAをノックダウンした細胞にLPSを添加すると,scrambled siRNAを作用させた細胞と比べてTNF-αmRNAの発現量が減少した。これらの結果から,TDP-43はマクロファージのTNF-αmRNA発現調節に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯周病患者と健常者の歯周組織採取の機会が少ないため,実際のヒト歯周組織におけるTDP-43の局在と炎症の有無による発現量の違いについての組織学的な検討は滞っているが,その他の単球系細胞株を用いた培養実験の項目はおおむね計画通りに実行できている。

今後の研究の推進方策

まず,TDP-43のTNF-α転写調節メカニズムについてさらに追究する。最近,NFκBとTDP-43との関与を示唆する報告もあることから,NFκBが関与しない条件下でのTDP-43発現,およびTDP-43のTNF-α転写調節への影響を調べる。また,TDP-43の結合配列は明らかにされていないため,標的のTNF-αプロモーター中のシスエレメントを絞り込む。次に,糖尿病関連歯周炎への関与についても検討する。TDP-43は本来,アルツハイマー病を含む神経変性疾患の原因物質として知られており,一方でそれらの神経変性疾患と高血糖状態における終末糖化産物(AGE)との関連も示唆されていることから,高血糖状態におけるTDP-43発現を調べることで,TDP-43の糖尿病関連歯周炎への関与の可能性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

細胞培養,核酸・タンパク抽出,遺伝子導入(siRNA,発現ベクター),ゲルシフトアッセイ,ELISA,ウェスタン,RT-PCR,real-time PCRの実施とキット購入に使用する。終末糖化産物(AGE)は所属教室にて作製する予定であるが,実験結果によっては既製品を購入することとする。遺伝子導入,ELISAは条件設定も含めると多額を要すると思われるため,結果によっては計画を変更する。次年度への繰越額は遺伝子導入試薬の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 神経変性疾患関連因子TDP-43はマクロファージ様細胞のTNF-α転写調節に関与する2013

    • 著者名/発表者名
      村田 裕美
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2013年度春季学術大会(第138回)
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20130627-20130628

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公開日: 2014-07-24  

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