研究課題/領域番号 |
24792334
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
讃井 彰一 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70507780)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / Sprouty2 / 骨芽細胞 / 上皮細胞 / bFGF / EGF |
研究概要 |
本研究の目的は、ERKにより誘導されるネガティブフィードバック制御因子Sprouty2(Spry2)が阻害される作用点をタンパク質構造解析より割り出し、培養細胞および実験動物を利用してSpry2阻害剤を開発することである。最終的に、歯周組織破壊が起きた部位に、創薬されたSprouty2阻害剤を局所適用した歯周組織再生療法を開発し、その有用性を確立したいと考えている。 平成24年度は培養細胞へのSpry2変異体導入とその細胞機能解析におけるシグナル伝達経路の解明を行なった。RT-PCR法の結果、Spry2抑制骨芽細胞はcollagen I, osteropontin, bone sialoproteinなどの発現に変化は認められなかったが、alkali phosphatase, osteocalsinに変化が確認できた。また、ウェスタンブロット法の結果、Spry2抑制骨芽細胞はRunx2が抑制されていた。このことより、Runx2の下流にSpry2が作用を及ぼしていると考えられる。一方、Sprouty2変異歯肉上皮細胞は対照群と比べ、EGF刺激により著しくEGF receptorの発現が減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroの研究が優先的に実行されたために実験動物に対する研究が遅れている。並行して行なっているものの有意義な実験結果は現在のところ出ていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、in vitro においてSpry2が効率よく歯肉上皮細胞において増殖を抑制、骨芽細胞において増殖・分化を誘導することが判明したため、次年度は実験動物にて歯槽骨吸収部位へ局所投与を行い、Spry2阻害剤の再生効率を測定する。同時に副作用による異常所見や周囲組織の癌化の有無等を経時的に観察する。また、多方面からの検討として、Spry2標的siRNAの局所投与も同時に確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本年度の結果を踏まえ、Spry2KOマウスの口腔内に歯周病原因菌であるP. gingivalisを投与し、野生型と比較してKOマウスの歯周炎の程度を観察し、感染に対して抵抗性の有無を検討する。さらに、マウスの歯槽骨に人工的骨欠損を作り、その部位にマウスSpry2 RNAiを投与後、飼育を続ける。そのため、実験動物の飼育費と、高額となりやすいRNAi購入費を中心に予算を計上する予定である。
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