研究課題/領域番号 |
24792340
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
衣松 高志 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00433954)
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キーワード | 一次繊毛 / 歯根膜線維芽細胞 |
研究概要 |
プライマリーシリア(一次繊毛)はほとんどの細胞が有する構造の一つであり、その機能として体幹の左右決定、および骨形成における重要な蛋白の一つソニックヘッジホッグのシグナル伝達に関わることが知られている。歯牙と周囲骨を連結する歯根膜は、歯の移動に伴い周囲への骨添加と骨吸収を短期間に生ずる組織であるが、その機能を生かした骨再生治療は未だ発展途上である。そこで、歯根膜におけるプライマリーシリアの骨形成に関連する働きを解明し、この構造の持つ骨形成の指向性、骨形成のアクティビティーを生かした新規再生治療の確立を目指している。 平成25年度はラット歯根膜細胞中にどの程度のプライマリーシリアを有する細胞が存在するかをAnti-Acetylated alpha Tubulinに対する抗体を用いて確認した。本実験においては第一大臼歯の歯根膜においてその歯頸部、中間部、根尖部においてともに63%程度の細胞にプライマリーシリアの発現が認められた。なお、その配列にはある程度の法則性が観察された。現在プライマリーシリアの起点となる中心体を染色する目的でgamma tubulin の染色を行った。これによりプライマリーシリアの歯根膜細胞内での方向性も明らかとなった。 昨年度試行していたラットに対する矯正装置モデルが完成しこれを用いたサンプルを作成した。同サンプル中のプライマリーシリアに関する観察は今後詳細に行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プライマリーシリア染色のための抗体濃度検討に時間がかかってしまった。25年度には抜去歯牙より歯根膜細胞を回収培養し、これに対して培養細胞伸縮装置(フレクサーセル)(FLEXCELL社、FX-3000)により伸展刺激を加え、(Gardner K et. al. J Orthop Res. 2011 Apr;29(4):582-7)同様の実験系を歯根膜細胞に適用しその変化を観察する予定であったが大学移転に伴い同装置が廃棄となってしまい実験を行うことができなくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度より本研究に参加した大学院生が基本手技の獲得を終え本格的に本実験を行えるようになったため、同大学院生が主に研究を行うことにより研究の推進を図ることとする。 使用できなくなった培養細胞伸縮装置(フレクサーセル)(FLEXCELL社、FX-3000)に関しては代替的な研究を模索しているところだが、一次繊毛をコントロールする因子として知られているcytosolic tubulin、Galectin-7、Tctex-1 (DYNLT1)等のタンパクをプラスミド等を用いて強制発現させ人為的にプライマリーシリアを伸長させた細胞の動態を観察することによりその代替とする予定である。これら導入が成功すれば、26年度に行う予定であったラット頭蓋骨への移植実験にも使用できることから、有用な手段と思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の遅れにより、本来本年度で購入するはずだったQRT-PCRに使用するプライマー等の購入を行わなかった。また、培養細胞伸縮装置(フレクサーセル)(FLEXCELL社、FX-3000)が使用不可能となったことから、同器機を使用し行うはずだった実験に使用するメディウム、ISHのためのプローブ等の購入が行われなかった。 本来本年度で購入するはずだったQRT-PCRに使用するプライマー等の購入、および試薬、機材の購入に次年度使用額を使用する。 また、培養細胞伸縮装置(フレクサーセル)(FLEXCELL社、FX-3000)が使用不可能となったことから、代替実験としてのプラスミドDNAによるタンパク強制発現に関する実験を行うため、同実験のためにも本年度使用予定であった金額を使用する予定である
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