プライマリーシリア(一次繊毛)はほとんどの細胞が有する構造の一つであり、その機能として体幹の左右決定、および骨形成における重要な蛋白の一つソニックヘッジホッグのシグナル伝達にかかわることが知られている。歯と周囲骨を連結する歯根膜は歯の移動に伴い周囲への骨添加と骨吸収を短期間に生ずる組織であるが、この機能を生かした骨再生治療はいまだ発展途上である。そこで、歯根膜におけるプライマリーシリアの骨形成に関連する働きを解明し、この構造の持つ骨形成のし好性、骨形成のアクティビティーを生かした新規再生治療の確立を目指している。 平成26年度はラットM1を矯正力により口蓋側へ傾斜移動させた際の歯根膜歯頸部における牽引側および圧迫側のプライマリーシリアの発現状況を観察した。週齢は矯正力付与後0日、3日、1週、2週、4週とし、HE染色およびアセチル化αチューブリン、αチューブリンの染色を行いその分布状況を観察した。 各週齢においてプライマリーシリアの発現に有意差はなかったが、1週後のサンプルで若干高い傾向が観察された。また、歯根側、中央部、骨側の3つに分けた際、矯正力を加えた際には特に骨側で発現している細胞数が多い傾向が観察された。
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