研究課題/領域番号 |
24792346
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 和隆 北海道大学, 大学病院, 助教 (80399857)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 口腔機能向上 / 介護予防 |
研究概要 |
介護保険における口腔機能向上事業に関し、地域特性と高齢者の生活実態を考慮した報告は数少ない。積雪期に高齢者の行動が制限される北海道のような積雪寒冷地域では、積雪期に高齢者の運動頻度が減少するという報告がなされているので、この期間に何らかの運動器の機能変化、口腔機能の変化および栄養状態の変化が生じている可能性が高いと推察される。このようなことから、札幌市内に在住する自立高齢者に対し、積雪期前における運動器および身体の機能、口腔機能および栄養状態を調査し、約4ヶ月後の積雪期後にも同様の調査を行い、その変化の実態を統計学的に解析した。運動器や身体の機能については筋力、平衡機能、歩行機能、運動器や身体機能に関する聞き取り調査を、口腔機能については口腔粘膜保湿度、唾液湿潤度、口腔運動機能、口腔周囲筋力、口腔機能に関する聞き取り調査を評価項目とした。また、栄養状態は血清蛋白値を評価項目とした。このうち、積雪期前後において運動器や身体の機能と栄養状態には有意な変化が認められなかった。一方、口腔機能に関しては、口腔粘膜保湿度と唾液湿潤度に有意な低下が認められ、口腔機能の低下が示唆された。したがって、積雪期においては自立高齢者の口腔機能を低下させないようななんらかの介入が必要であることが示唆された。つまり、積雪地域や離島地域など、地域特性により介護予防事業の内容を考慮することが重要であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度には積雪期前後の口腔機能の実態把握と、口腔機能向上プログラムを提供するタブレット端末用アプリケーションソフトを開発する計画であった。実態把握に関しては口腔機能のみならず、運動器や身体機能、栄養状態の把握も可能であった。一方、アプリケーションソフト開発に関しては企業に依頼する形をとっているが、作成にかなりの遅延が起こっている。これは、この企業が医療や福祉に関連するアプリケーションソフトを作成した経験が少ないことが要因であると考えられる。また、研究者と企業側との意思疎通がそれほど円滑でないことも要因の一つとしてあげられる。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは口腔機能向上プログラムを提供するタブレット型端末用アプリケーションソフトの開発を完了させる。現在、作成を依頼している企業での進展が遅延していることを踏まえ、他企業への開発・作成依頼による対応も視野に入れ、最低でもこのアプリケーションソフトによる自立高齢者への介入効果を、予算期限以内に調査できるようにする。また、アプリケーションソフトの内容が、その利用者と提供者との間に双方向性を持たせる計画であったが、一方向性でプログラム提供のみと変更することで、アプリケーションソフトの開発・作成期間を短縮する。また、本アプリケーションソフトによる口腔機能向上効果検証のためランダム化比較試験とする計画であったが、本アプリケーションソフト完成までの期間が短くなることが予想され、十分な機能を装備したアプリケーションとならない可能性があるため、この検証方法を単純化し、前向き観察研究へと変更する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
アプリケーションの双方向性から一方向性へと変更することにより、iPhoneを使用・契約せず、タブレット型端末であるiPadを購入・使用するように変更する。また、アプリケーションソフトの開発・作成にかかる費用も計上することとする。
|