研究課題/領域番号 |
24792346
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 和隆 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80399857)
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キーワード | 口腔機能 / 自立高齢者 / タブレット端末 |
研究概要 |
介護保険における口腔機能向上事業に関し、地域特性と高齢者の生活実態を考慮した報告は数少ない。積雪期に高齢者の行動が制限される北海道のような積雪寒冷地域では、積雪期に高齢者の運動頻度が減少するという報告がなされているので、この期間に何らかの運動器の機能変化、口腔機能の変化および栄養状態の変化が生じている可能性が高いと推察される。積雪期前後における運動器や身体の機能と栄養状態について調べたところ、これらの各評価項目において有意な変化が認められなかった。一方、口腔機能に関しては、口腔粘膜保湿度と唾液湿潤度に有意な低下が認められ、積雪期前後で口腔機能の低下が示唆された。したがって、積雪期においては自立高齢者の口腔機能を低下させないような、なんらかの介入が必要であることが示唆された。また、iPadやiPhoneなどのアプリケーションを作成することができる既存のツールを利用し、iPadやiPhoneなどで利用可能な口腔機能向上プログラムを作成した。このアプリケーションでは、利用したコンテンツやアプリケーションの起動時間が記録される。このアプリケーションがインストールされたiPadを利用し、自立高齢者が口腔機能向上プログラムを定期的に実施することができるか、また、実施前後において口腔機能の変化があるかを検証した。その結果、多くの高齢者においてiPadを問題なく利用することができ、アプリケーションの利用も定期的に行われていたことが分かった。口腔機能向上プログラム実施前後における口腔機能の変化については、これから統計解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度には積雪期前後の口腔機能の実態把握と、口腔機能向上プログラムを提供するアプリケーションを開発する計画であった。実態把握に関しては口腔機能のみならず、運動器や身体機能、栄養状態の把握も可能であった。一方、アプリケーション開発に関しては企業に依頼する形をとっていたが、作成にかなりの遅延が起こったため、ほかの企業に作成を依頼した。したがって、当初は平成24年度内にアプリケーションを完成する予定であったが、平成25年までにずれ込んだ。なお、アプリケーション開発の時間を短縮するため、アプリケーションの内容自体も縮小した。これは、最初に依頼した企業が医療や福祉に関連するアプリケーションソフトを作成した経験が少ないことが主な要因であると考えられる。また、研究者と企業側との意思疎通がそれ円滑ではなかったことも要因の一つとしてあげられる。この遅延により、平成25年度に実施する予定であった介入研究が困難となり、前向き観察研究へと変更を図った。
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今後の研究の推進方策 |
当初、開発予定のアプリケーションは双方向性を持たせる予定であったが、一方向性のものへと内容を縮小し、かつ、アプリケーションを利用した介入研究を前向き観察研究へと変更することで、平成25年度中に研究データを採取することが可能であった。今後はこのデータを統計解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の遂行に遅延が生じ、翌年度に延長申請を行ったため。 論文作成や学会発表のための費用として使用する予定である。
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