本研究の目的は無作為化比較試験によって、2型糖尿病患者の抗菌的歯周治療がインシュリン抵抗性関連遺伝子多型により歯周病の重症度に及ぼす影響を解明することである。 対象は新潟大学医歯学総合病院糖尿病来受診中の2型糖尿病患者で、HbA1c6.0%以上かつ現在歯数が10本以上、歯周ポケット4mm以上の歯が4本以上存在するもののうち、研究参加の同意を得られた40名とした。無作為化比較試験とし、介入群と、対照群に割付けた。介入群には、新潟大学医歯学総合病院歯科外来にて、研究開始0~8週中2週毎に機械的歯面清掃、口腔清掃指導および歯周ポケット4mm以上の部位にMinocycline抗菌剤を投与した。対照群には抗菌剤投与以外の処置をすべて行った。 研究開始0、16、24週に、歯周ポケット、アタッチメントレベル、BOPの測定、歯肉溝滲出液中のラクトフェリンおよびα1-アンチトリプシン濃度の分析、唾液中の歯周病原細菌総菌数中のP.g菌比率及び菌数の分析を行った。また、同時に血清アディポネクチン、TNF-α、MCP-1、高感度CRP、HbA1c、血液生化学一般検査の分析およびアディポネクチン遺伝子G276T・T94G、MCP-1遺伝子A2518G、PPARγ遺伝子Pro12Ala、IRS-1遺伝子Gly972Argの遺伝子解析を行った。 全結果が得られた後に、アディポネクチン遺伝子G276T・T94G、MCP-1遺伝子A2518G、PPARγ遺伝子Pro12Ala、IRS-1遺伝子Gly972Argの遺伝子多型を保有する数により3群にわけ、歯周ポケット・アタッチメントレベルおよび歯肉溝浸出液中のラクトフェリンおよびα1-アンチトリプシン濃度、血清アディポネクチン・TNF-α・MCP-1・高感度CRP・HbA1cの治療前後の変化量を比較分析する予定であった。
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