【目的】CPI(Community Periodontal Index):地域歯周疾患指数)検査およびGCF(Gingival Crevicular Fluid): 歯肉溝浸出貯留液)バイオマーカー検査とMSおよびMS関連指標との関係について検討した。 【方法】健診医療機関の協力を得て、人間ドックへの受診者のうち、歯科検診希望者を対象とした。MS関連指標としては、肥満(BMI≧25、腹囲≧男性85cm、女性90cm)、高血圧(収縮期血圧≧130mmHg又は拡張期血圧≧85mmHg)、脂質異常(TG≧150mg/dl、HDL-C<40mg/dl)および高血糖(空腹時血糖≧110mg/dl)を陽性とした。歯周病の指標は、歯周ポケットの有無(CPI≧スコア3;有、CPI≦スコア2;無)にて評価した。また、GCF中のラクトフェリン(LF)、α1 -アンチトリプシン(AT)、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)の定量的分析を行い、各種指標に関して、統計学的に検討を加えた。 【結果】対象者は1038名であった。歯周ポケットの有無とGCFバイオマーカーの発現との関係は、有意な関係は認められなかった。MSおよびMS関連指標の所見の有無別でGCF検査値を比較した結果、ASTは腹囲、MSで有意差を認めた(P<0.05)。さらに、MS関連指標とCPIおよびGCFバイオマーカーとの関係をロジスティック回帰分析した結果、それぞれにおいて明らかな有意差は認められなかった。 【考察】CPIおよびGCFバイオマーカーとMSおよびMS関連指標との関連性は認められなかった。しかしながら、埴岡らの報告らではGCF中のバイオマーカーとMSとの関連性を示され、歯周組織の炎症応答とMSとの関連性が示唆されている。今後は、GCFバイオマーカー等の再検討を行い、再度研究する必要があると考えられた。
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