研究課題/領域番号 |
24792369
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
阿保 備子 鶴見大学, 歯学部, 寄附講座助教 (00420282)
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キーワード | 誤嚥性肺炎 |
研究概要 |
近年、加齢に伴う高齢者の肺炎による死亡率の上昇が問題となっている。脳血管障害、脳変性疾患、認知症に罹患している患者が自覚のない不顕性誤嚥をしやすくなっていることも、高齢者肺炎増加の要因の一つと考えられる。要介護高齢者に対する口腔清掃を中心とした口腔ケアが肺炎予防に有効であるといわれながら、様々な基礎疾患を持つため、口腔を衛生的に維持するのは容易ではない。本研究では、誤嚥性肺炎を現疾患として持つ要介護高齢者の口腔内バイオフィルムについてピロシーケンシング法を用い、基礎疾患等を考慮しながらその細菌叢を網羅的に解析し、健常者の細菌叢と比較検討する。これにより、口腔ケアが容易になり、さらには誤嚥性肺炎の予防に繋がると考えられる。 本研究は、要介護高齢者を対象とした侵襲性のある測定を行わない疫学研究であり、医科病院の研究協力が必要となる。サンプルはブラッシング歯垢と口蓋に付着しているコアグラ(バイオフィルム)であり、サンプル採取時には患者または家族から同意書による同意を得ることとする。サンプルは連結可能匿名化を行い、ID番号にてサンプル管理を行うこととする。前年度は、疫学研究倫理に基づき本学と協力先の病院の両倫理審査委員会に計画書を提出し承認を得た。当該年度は、協力先の病院に入院している患者の同意を得てサンプリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者を協力先の病院に入院している患者としており、他科の医師の協力のもとに行っているが、サンプリングを行うことへの理解と同意がなかなか得られないため、研究がやや遅れている。 また、対象者を協力先の病院に入院している誤嚥性肺炎と診断された患者と限定しているため、採取できたサンプル数がまだ予定数に達していない。 ピロシークエンスでは集めたサンプルを一度に解析するため、まだ行うことができず、研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
サンプル数が予定数に達した時点で速やかにピロシークエンスを行う予定である。 当該年度内に行えなかった、(1)バイオフィルムを培養法、T-RFLP法及びピロシークエンシング法にて比較し、(2)バイオフィルムの最適な解析法を確立することを進める。 その後、バイオフィルムの解析を進め、バイオフィルム生成に対する予防体系の開発を目指す。 以上の研究内容を遂行するために、協力病院の呼吸器科の医師、病棟看護師に口腔のケアの重要性を再度説明し、さらに入院患者及びその家族からサンプリングへの理解と協力を得られるように努めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象者を協力先の病院に入院している誤嚥性肺炎と診断された患者と限定しているため、採取できたサンプル数がまだ予定数に達していない。 ピロシークエンスでは集めたサンプルを一度に解析するため、まだ行うことができないため。 本研究で用いるピロシーケンシング法は、1回に10~20人のサンプル解析が可能であり、従来の培養して菌株ごとに解析する方法に比べると、ピロシーケンシング法は格段に時間と費用が節約できる利点がある。 しかしながら、本学にはその設備がない為、外部に分析委託を行うこととなる。その際、1回に約80~100万円程度の費用が必要となるため、検体数が制限されてしまうという欠点がある。 当該年度で行えなかった解析を、次年度に予算を繰り越すことにより、予算内で可能な限りサンプル数を増やし解析することができる。これにより、より詳細に健常者の細菌叢と比較検討することができる。
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