研究課題/領域番号 |
24792376
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 みほ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30588398)
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キーワード | 職業移動 / 離職 / 職業継続 / 看護師 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護師の離職意向と心理社会的労働環境要因・個人要因ならびに経済的要因との関連を検証することである。当該年度は当該研究課題に関連する研究領域の有識者からのヒアリングや看護師教育担当者、看護管理職者を対象としたヒアリングを実施した(1)。続いて、前年度に実施した看護師の離職および職業継続に関わる心理社会的労働環境要因、経済的要因に関する先行研究レビューの結果および、当該年度に実施したヒアリングの結果に基づき本研究課題にて実施を計画している質問紙調査の調査項目の検討および策定を行った(2)。 (1)ヒアリングの結果より、看護師の離職には、働いている部署の雰囲気や組織風土が大きく関連することが明らかになった。部署の雰囲気あるいは組織風土は部署の長の考え方や方針に影響を受けるため、部署の長の異動に伴い働きやすさに関する主観的な認識も変化することが明らかにされた。また、新しく部署に配属された際に、同僚達の受け入れの姿勢も部署での働きやすさの認識に影響することが明らかとなった。一方で、病院組織や看護管理者側は看護師の離職を押しとどめるために制度の整備は元より、インフォーマルなサポート体制の構築など、さまざまな工夫を行っていることも明らかとなった。 (2)前年度より実施している本研究課題に関連する先行研究のレビューおよび(1)のヒアリングの結果より、質問紙調査で用いる調査票は離職に関わる心理・社会的な環境要因、個人要因を中心に構成することとし、健康関連指標についても把握することとした。 さらに、調査票を確定させた後、本質問紙調査への協力を関東地方、東北地方の病院に依頼し、それぞれ複数施設より協力同意が得られたため、看護師1500名を対象とした質問紙調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題の実施状況については、研究実施計画内容との間に若干のずれが生じてはいるものの、研究目的および質問紙調査の内容に照らし質問紙調査を実施する時期をより妥当と考えられる時期に変更したものであり、精度の高い研究を遂行する上で必要な変更であると判断している。 調査対象者は既に確保されており、ベースライン調査は実施済みであること、追跡調査実施の準備も着実に行われていることから、研究計画に添って研究は遂行されているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在、平成25年度下半期に実施したベースライン調査のデータ入力およびデータクリーニングを終え、データ解析のフレームワークを検討している段階にある。データ解析のフレームワーク決定後は、関連学会での口頭発表や論文発表に向け、解析結果をまとめる予定である。また、ベースライン調査結果報告書作成に向けたデータ分析を合わせて行い、12ページ程度の冊子に纏めて研究協力先の病院に配布する。 また、平成26年度下半期にはベースライン調査で返送のあった調査協力者を対象に追跡調査を実施する。追跡調査実施に向け、調査票の内容について再度見直しを行い調査項目の検討、策定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究および調査を効率的に推進したこと、予算を有効かつ効率的に使用したことに伴い未使用額が発生した。 平成26年度は、看護師1500名を対象に平成25年度に実施した質問紙調査に引き続く追跡調査(郵送法による質問紙調査)を実施するため、研究費の使用計画は第一に、調査票用用紙および調査票送付・返信用封筒の購入、印刷、調査票送付・返送用通信費への充当が必要不可欠となる。合わせて、25年度に実施したベースライン調査結果について研究協力先に結果報告を行うために、報告書の作成に係る用紙購入費用、印刷費用の支出が必要である。さらに、当該研究による調査で得られたデータに基づく成果発表を目的とした学会への参加および論文作成・投稿、当該研究課題に関連する最新の研究動向、知見、情報の収集を目的とした学会参加も必要であるため、そのための費用も研究費から支出することを計画している。
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