本研究の目的は、看護師の離職意向と心理社会的労働環境要因・個人要因ならびに経済的要因との関連を検証することである。当該年度は、 (1)前年度に実施した看護師の離職および職業継続に関わる心理社会的労働環境要因、経済的要因に関する質問紙調査のベースライン調査のデータ解析および解析結果について学会にて報告を行った。ベースライン調査からは、年齢、看護師経験年数、貸与型奨学金の有無、婚姻状況、子どもの有無、被介護者との同居の有無、世帯収入における自己の収入の割合、時間外労働時間、調査票回収率について地域差が認められた。また、個人属性と職場での就業継続意向、看護職としての職業継続意向の関連が明らかとなった。さらに、現在の職場での就業継続意向、看護職としての職業継続意向の関連要因の地域差も認められた。 (2)ベースライン調査で得られた回答の分布を明らかにし、ベースライン調査結果報告書として48ページの冊子に纏め、調査への協力を得た病院へ郵送した。なお、報告書はPDFファイルとした上で、ホームページでも公開している。 (3)平成26年度下半期にはベースライン調査で返送のあった調査協力者を対象に、追跡調査を実施した。対象者は1034名であり、関東地方、東北地方の病院に勤務する看護職員である。追跡調査の調査票は対象者個々に郵送にて配票した。追跡調査で尋ねた項目は、職務満足度、精神健康、主観的健康、ストレス対処力、就業状態の変化、就業状態が変化した理由、就業状態が変わらない理由、看護職継続の意思、個人属性(昨年からの生活の変化の有無、世帯収入における自己の収入の割合、被介護者との同居の有無、雇用形態、職位、時間外労働時間)であった。 追跡調査で回収された調査票は645通(回収率62.4%)で、現在データ入力作業を実施している。データ入力作業終了後に解析予定である。
|