研究実績の概要 |
本研究の目的は、専門看護師の雇用特性、および専門看護師(以下、CNS)の雇用と活用に対するCNSと看護管理者双方のニーズを明らかにすることである。本年度はCNSを雇用している病院の看護管理者531名と、病院機能評価の認定を受けている病院のうち、病床別に階層化し、無作為抽出した病院の看護管理者1,000名を対象にアンケート調査を実施した。分析対象は、422名(27.6%)であった。 CNSの雇用・増員の意向について「あり」と回答した者は49.5%であった。調査時点でCNSを雇用している群と雇用していない群とで今後の雇用・増員意向の有無についてχ2検定を行ったところ有意がみられた。 CNSを導入・増員する際の障害となる要因について、雇用意向のある群、ない群ともに最も多い回答は「現場の人員の充足が優先される」であった。 CNSに関して今後知りたい情報について、最も多い回答は「CNSの導入成果(患者アウトカム、看護ケアの向上等)」、次いで「CNSの勤務実態(役職、勤務状況、組織内の位置づけ、職務内容、待遇や手当等)」、「CNSの能力強化のための支援」であった。 看護管理者が認識するCNSの雇用・活用を促進するために必要な取り組みについて、最も多い回答は「看護師のCNSに対する役割機能の理解、認知の向上」、次いで「上司との活動内容の合意」、「専門性が発揮できる部署への配置」であった。 すでにCNSを雇用している看護管理者はCNSの増員に対して前向きではあったが、看護師の人員確保に苦慮していることから、CNSという理由で優先的な雇用の対象にはなりにくいことが考えられた。また、CNSの雇用・活用を拡大するために、CNSの導入例や活用事例について、情報交換、情報共有を促進することも一つの方法になることが示唆された。
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