本研究の目的は、皮膚・排泄ケア認定看護師(以下WOCN)の褥瘡管理体制を組織化する上で必要な資質を育成すると共に褥瘡管理活動を支えるストレス対処能力を強化する教育プログラムを開発することであった。 プログラムはEラーニング方式とし2部構成とした。第1部は、組織的段階的に調整力を発揮するプロセスを教育する内容、第2部は、認知行動療法に基づきストレスマネジメント方法を学び、ストレス対処能力を強化する内容として構築した。インストラクショナルデザインの手順で①ニーズ調査、②初期分析、③設計、④開発、⑤実装を行った。 第1部:H24年度には①②として、研究者の先行研究において開発した調整力尺度の臨床適用の可否、臨床的意義について検討した上で項目精選を行い、改定版調整力尺度が完成した。H25年度には③として、本プログラムをどれくらいの経験年数をもつWOCNを対象とすべきか検討するため、WOCN265名を対象に改訂版調整力尺度調査を実施した。その結果、本プログラムは経験年数5年未満に有効であることが示唆された。④⑤では、研究者の先行研究で明らかにした調整力の発揮方法をアニメーションを用いて、学習者にわかりやすく教授する内容をプログラムに搭載した。 第2部:H24年度には①②として、WOCNのストレスの実態を明らかにするため、先行研究で行ったインタビューデータの2次解析を行い、WOCNのストレスを分類し、ストレス尺度を作成した。次に③として、分析結果を踏まえ既存のストレスマネジメントプログラムの修正を行った。一方で、当プログラムがどの程度、適用可能か検討するため、10名の認定看護師を対象にプログラムの使用感についてアンケート調査を行った。H25年度には、④⑤として、WOCNのストレス尺度からストレス度を計算式で算出し、対象者にチャート図にて自身のストレスを把握する仕組みを検討した。
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