研究課題/領域番号 |
24792388
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
清水 誉子 福井大学, 医学部, 助教 (00554552)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 災害看護 / 慢性疾患 / 健康管理 / 被災者 |
研究概要 |
災害の有無にかかわらず慢性疾患を持つ割合が高く、個人的・社会的責任の重い中年期の慢性疾患を持つ被災経験者を対象にインタビュー調査を行い、被災後刻々と変化していく周囲の環境や状況に合わせてどのように健康管理を行っているのかを明らかにし、生活の場の変化や老年期との比較、災害の種類ごとの比較を行い、特徴的な点や違いを明らかにすることを目的として行った。 本年度は岩手県、宮城県、福島県の東日本大震災、宮崎県の噴火災害の中年期・老年期被災者に対してインタビュー調査を行う予定であったが、岩手県、宮城県、福島県の東日本大震災被災者にのみインタビュー調査を行った。9月にデータ収集を行い、対象者の内訳は、老年期10名(男性3名、女性7名)、中年期1名(男性1名)であった。 データは現在分析中であるが、対象者の語りからは、被災直後は呆然としている時期で健康管理のことは頭にない対象者も多いが、薬を持って避難している対象者もいた。これは東日本大震災が地震そのものの被害はほとんどなく、津波による被害が大多数であったことが影響していると考えられる。津波が来るまでにしばらくの時間的猶予があり、その時間が薬の準備などへの行動につながったと考えられる。また、今回の東日本大震災では老年期の被災者でも漁業に携わっていた場合には、被災で仕事を失ったことによる今後の生活への不安から体調を崩している者もおり、仕事・収入の喪失は老年期被災者にもストレスとなっていることが分かった。過去の研究結果にもある人付き合いを継続することや日常の生活習慣を継続することなどは本災害でも見られていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で予定していた対象者よりも2倍程度のインタビュー調査が行えている。しかし、内訳として、中年期の対象者数が少ない。仕事等でインタビュー調査の日程調整やインタビューそのものを承諾してくれる数が少なく、対象者の確保が難しい現状がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は東日本大震災での中年期の被災者を対象としインタビュー調査を行い、老年期と中年期被災者を継続的に比較していく。中年期の対象者は老年期より得られにくいが、調査協力施設を変更するなどして対応していく。また、東日本大震災以外の災害の被災者にもインタビュー調査を行い、データの比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究成果を8月に学会発表する予定であり、災害各地でのインタビュー調査のための旅費・謝礼に使用する。また、災害看護や生活支援のための参考図書購入費、文具類等に使用する予定である。
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