リンパ浮腫患者の治療として複合的治療(CDT)が有効であると言われているが、それぞれのケアの根拠や個別的なケア方法については根拠が乏しいのが現状である。特にCDTに含まれる「スキンケア」の根拠を明らかにする上で重要な情報である、リンパ浮腫患者の皮膚の状態については情報が乏しく、具体的なケア方法も分かっていない。本研究の目的は、リンパ浮腫患者の皮膚の状態を明らかにし、より具体的なスキンケア方法を開発することである。 本研究ではまずリンパ浮腫を発症した患者の、皮膚の特徴を明らかにしようと考えている。皮膚の評価項目としては、角質水分量、皮脂量、皮膚pH、皮膚弾性力、皮膚血流量、皮膚深部温、マイクロスコープによる画像を用いた皮膚の表面構造を計画した。今年度は、研究調査環境の整備のため、機材の準備を進め、マイクロスコープDG-3Xを購入した。 同時に研究者は実際にリンパ浮腫外来を開設している施設への見学や学術集会などへの参加により情報収集を行った。その結果、現在、リンパ浮腫外来を開設している多くの施設で行われているリンパ浮腫ケアは、患者は数ヶ月に1度だけ来院し、弾性着衣の処方、家庭でのセルフケアを行うことが主流となっていた。欧米では、集中的なCDTの施行がより効果的であるとされているが、日本ではあまり行われていないことがわかった。そこで本研究では、患者に4週間CDTの介入を行い、CDT介入による皮膚の変化を明らかにすることも計画した。介入に当たり、研究者はCDTの研修を受け、リンパ浮腫セラピストの資格を得た。 今年度は、患者のリクルート方法の確立まで進めることができたが、患者への介入および皮膚の調査までは至っていない。介入、調査および分析は25年度以降の課題とした。
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