研究課題/領域番号 |
24792393
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊部 亜希 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80452431)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 温度伝導率 / 褥瘡予防ケア / 皮膚血流 / 評価ツール |
研究概要 |
褥瘡の初期症状であるI度褥瘡の判断は目視による発赤観察等によるものであり、直接的に皮膚の血流を評価するものではない。そこで、血流が熱移動の調節に主導的な役割を果たしていることに着目し、皮膚に冷却刺激を加えた際の皮膚表面温度応答から推定される皮膚組織血流量により、皮膚血流を評価できるツールを考案した。本研究では、これまでの研究によって明らかにできていない、血流が破綻した状態と一致する推定血流量値を確立することを目的とする。 本年度は、健康者を対象とし、褥瘡好発部位で、冷却刺激時の皮膚表面温度を測定し、推定血流量値を求めた。その結果、仙骨部および踵における推定血流量値の分布が明らかとなった。また、部位による違いがあることが確認されたが、測定時の状況による影響が否定されなかったことから、今後検討していく必要性があきらかとなった。さらに、測定に使用した温度センサーおよび冷却刺激装置に関して、その精度および再現性についての課題が認められた。本手法で用いている熱刺激方法では、その再現性が測定時の状況により影響されることが確認されたため、手法における熱刺激方法及びセンサー構造に関し検討が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施により、目的としていたデータ収集は行えている。また、本手法の課題が明確となったことで、より精度の高い測定が可能になったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果から明らかとなった課題を検討し、手法の改善をはかるとともに、本研究が目的とする血流が破綻した状態と一致する推定血流量値を明らかとするための臨床データを収集していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本手法の改良を検討し、その測定精度を確認する。その後、一般病院に入院中で虚血と判断される皮膚所見を持つ患者を対象とし、虚血と判断された皮膚と周囲の健常皮膚において、それぞれ冷却刺激を用いた皮膚表面温度による推定血流量を比較し、血流破綻と判断された状態に一致する推定血流量値を明らかにする。測定結果により、本年度の推定血流量値との比較および、虚血と判断された皮膚と周辺健常皮膚の推定血流量値を比較する。
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