2015年度は、先行研究およびイギリス国立医療技術評価機構の高齢者の転倒転落アセスメントと予防に関するガイドランを基にA大学病院で使用されている改変版日本看護協会転倒転落リスクアセスメントツールの構成項目から17項目を精選し、簡易転倒転落アセスメントツール(案)を作成した。この17項目の各項目を1点、カットオフ値3点以上とした場合、2010年4月~9月の入院患者コホートにおける感度は0.82(95%信頼区間:0.68-0.91)、特異度は0.72(95%信頼区間:0.71-0.74)、陽性尤度比2.92(95%信頼区間:2.5-3.4)、陰性尤度比0.25(95%信頼区間:0.1-0.5)、ROC曲線下面積0.86(95%信頼区間:0.81-0.90)となった。この予測妥当性は、臨床使用における基準(感度>0.7、特異度>0.7)を満たしており、良好であると評価した。この簡易転倒転落アセスメントツール(案)を別のコホート集団で検証するため、新たにA大学病院の一般病床への新規入院患者(15歳以上)および精神神経科病棟への新規入院患者(15歳以上)のデータ収集を開始し、研究を進めている。また、2012年に実施した転倒・転落リスクアセスメントツールの評価者間一致性研究および2013年に実施した転倒転落の発生状況、リスク要因、背景・原因を高齢者と非高齢者で比較した研究を論文にまとめ、国際学術誌に投稿した。
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